第176話 あっ、お兄ちゃん


ちょっと前話の続きです。


――――――


 今、洋二さんが私の横にいる。勿論ベッドの上。お互い何も身に着けていない。彼の温もりだけを感じている。

時計を見るともう午後八時になっていた。でも離れる気になれない。


 ほんの二時間前、私は洋二さんに抱かれた。いや抱いて貰ったのかも知れない。でもお互い初めてだったこともありぎこちなかったけど、でも何とか最後まで出来た。とても痛かった。お兄ちゃんの彼女達もこんな思いしたのかと思うと何とも言えない感じがした。


 でもそれ以外は、ただ大きな声を出していただけの様な気がする。恥ずかしさと気持ち良さが相まってどう言って良いか分からない。



 これで私は洋二さんと新しい一歩を踏み出せる。彼の寝顔を見ているとちょっとだけ彼の唇にキスをした。

 彼とは身長が同じ位。私が伸びすぎた感じ。もう百七十八センチもある。もう伸びないと思うけど。

 我が家はみんな背が高い。お母さんも百七十は有ると言っていた。お父さんは百九十近い。だから仕方ないのかな。


 あっ、彼が目を覚ました。じっと私の目を見ると彼の手が私の大切な所に降りて来た。そのまま体を委ねた。



 もう午後十時を過ぎていた。ベッドの上で彼が

「瞳さん、今日は帰ります。初めて来て泊まったらだらしない感じがするので」

 そんな事気に無くても良いのに。


「泊って行ってもいいですよ」

「今度は、きちんと準備してきます」

 何準備してくるんだろう?



 彼が着替えると、私も着替えた。彼には部屋の外に出て貰った。何となく恥ずかしい。私も部屋の外に出ると

「駅まで送ります」

「いや流石に帰りが心配になります。それにここは駅から近いから」

 もう少し一緒に居たいのに。


 玄関を出る前にもう一度キスをした。そして玄関を開けて彼が外に出ると私も一度出た。その時だった。隣のドアが開いた。そして


「あっ、瞳ちゃん」

「早苗お姉ちゃん」


「早苗どうした」

「あっ、お兄ちゃん」

「瞳か。えっ!」

 お兄ちゃんは私の横にいる洋二さんを見ると、何故か何も言わずに


「早苗、じゃあ明日な」

「あっ、ちょっと」

 部屋に入ってしまった。


「もう、達也ったら」

 それから私達の方を見ると


「ふーん、瞳ちゃん、やっと大人になれたんだ、良かったね。じゃあ私はこれで。お二人共おやすみなさい」

 私達の横を通ってエレベータホールへ行ってしまった。




「あの、瞳さん。不味かったかな?」

「あの二人は問題ないですよ。マンションの玄関まで送ります」

「…………」

 達也君と桐谷さんに見られてしまった。ふしだらな男と思われたかな?





 俺は、早苗を玄関先で見送る為に出ると、何と瞳と洋二さんが居た。この時間までいるって事は、そういう事だろうけど、兄としては複雑な心境だ。頭の中ではあの二人はもうそういう関係になっていると思っていたけど、まさか目の前で見せられると複雑だ。

 

 今の関係が続けばいずれ結婚して立花瞳になるんだろうけど。


 しかし、それって玲子さんは親族関係になるのか?玲子さんの最近の行動を見ていると、あの二人がそういう関係になった事を理由にもっと積極的に俺に近付いてくるかもしれない。

 そうなると早苗が変に勘違いして、また揉めそうだな。これは何とか事前に手を打たないと。でもどうすればいいんだ。



 洋二さんをマンションの玄関まで送って部屋に戻った後、寝室に入った。彼の匂いがベッドにある。

 シーツが汚れてしまっている。初めてだったから仕方かな。明日洗っておこう。スーパーで彼に内緒で買っておいたあれが役に立ったけど、あれって初めてでも上手く着けられるのかな。私が初めてだって言っていたし。今度聞いてみようかな。…やっぱり止めよ。恥ずかしい。


 その後、お風呂場に行ってシャワーを浴びた。彼に抱かれた体がまた彼を思い出している。そう言えばあの時、早苗お姉ちゃん出て来たって事は、多分同じ事していたんだろうな。

 でも彼女は、もう高校生の時からだから、私とは全然違うんだろうな。


 私は石鹸を当てた後もう一度シャワーを浴びた。





 それからは、月に二度位、彼が私の部屋に泊りに来た。勿論、昼間は映画を見たり、散歩したりして、夜は私の料理を食べて貰った。

 そしてその後は、うふふっ、そういう事をした。



 そして半年後、夏休みが明けた十月中旬、彼は私を彼の両親に紹介してくれた。結婚を前提にお付き合いしている人だと紹介された。

 彼のお父さんは玲子お姉ちゃんの事もあり、諸手を挙げて喜び、その日の内に私のお父さんに連絡して、内定してしまった。勿論婚約の事。


 これで私の方向は決まったけど運命は決まっていない。だってお兄ちゃんというとんでもない人がいるから。


 お兄ちゃんの動き方次第では、立石産業、立花物産そして三頭グループの行く末が動くんだから。


 お兄ちゃん期待しているからね。


――――――


ちょっと濃かったかな?


次回をお楽しみに。


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価★★★頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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