第21話 ケジメは付ける必要がある その二


 俺白河修二。もうすぐこの県を離れてテニスでスポーツ推薦を受けた大学へ進学する。その前にもう一度しておきたい事があった。

 

 本宮涼子との事だ。あの子とは交流戦の後、二回体を合せた。テニスを現役でしている事もあるが、そのスレンダーな体に似合わない大きな胸、そして敏感な体。


 彼氏としていると言っていたけど数えるほどだろう。反応が初々しかった。何時間も抱いた。


 俺は溜まらなくてもう一度誘った。直ぐに会えたが、その時は、一回しか出来なかった。どうも彼氏への責任を感じているらしい。


 その後は、何を言っても会えなかった。だが、向こうのマネージャから春休みに練習日があるから会えると言って来た。


 涼子に言えばこれが最後だと思って会ってくれると踏んでいた。もう一度あの体を抱いてみたかった。


そして当日、テニス部へのアドバイザーと言う名目で行く事にした。


 向こうの学校のグラウンドに着くとテニスの練習は始まっていた。本宮涼子が練習している姿がはっきりと見える。


練習が一休みになった所で、彼女に声を掛けた。

「本宮さん、久しぶりです。調子はどうですか?」

 いきなりの声に驚いた様だ。


「し、白河…さん」


 彼女の顔が急に厳しくなって来た。さっといなくなろうとするところを手で掴んで、

「ちょっと、この前のアドバイスのレビューをしますか」


「結構です」

「いや、さっき見ていたら少し前の悪い癖が出て来ていましたよ」

「良いと言っているじゃないですか。手を離して下さい。練習の邪魔です」


「本宮さん、せっかく白河さんがアドバイザーとして足を運んできてくれています。それにあなたには、白河さんに恩義があるでしょう。少し教えて貰いなさい。あっちで少し話してきたら」

 そう言ってマネージャが校舎の方を指指した。



 マネージャはなんて事言っているのか。まずいじゃない二人で校舎に行くなんて。早く達也来ればいいのに。


「本宮さん、早く行きなさい。他の子の練習もあるんだから」


 私は仕方なく白河と校舎の方へ歩いた。なるべくゆっくりと。




 俺は、校舎に着くと

「ここじゃ、シャドウ出来ないから。裏でも行きましょう」

「…………」

 何を考えているか丸わかりだ。何とかしないと。その時ちらりと校門の方を見ると達也が歩いて来ていた。

 なるべくこっちに気付くように少し大きな声で

「白河さん、では校舎裏に行きましょうか」

 気付いて達也。




 いきなり涼子が大きな声を出したが、周りを見ても誰もいない。気にする事は無いか。


俺達は二人で校舎裏に行くと

「ふふっ、体が忘れていなかったのか。素直じゃないか。俺も我慢出来ないんだ。早くしようぜ」

「嫌です」

「なに、直ぐに気持ち良くなるよ」

 いきなり腕を掴んで来た。





 俺立石達也。涼子に頼まれてテニスの練習を見に学校へ来た。テニスコートでは部員が練習をしているが涼子がいない。来ていないのか?


 テニスコートの近くまで行って部員の一人に涼子の居場所を聞くと

「本宮さんなら茂実の白河さんと校舎の方へ行きましたけど」

 どういう事だ。俺は急いで校舎に向かった。後ろで今の子がマネージャから何か言われている。


 校舎に来ても誰もいない。その時校舎裏から女の子と男の声が聞こえて来た。


「止めて下さい」

「直ぐに気持ち良くなるから」

「止めて」


 急いで校舎裏に行くと涼子が男に抱きしめられていた。

「涼子!」

「達也!助けて!」


俺は何も言わずに涼子を抱きしめている男の腕を涼子の背中から捻り弾くと

「ぐぇ!」


 男が涼子から離れると

「お前誰だ、この子とは同意しているんだ。あっちへ行け」

「嘘よ。達也」


「何だ。お前が涼子の元カレか。涼子は良い体をしている。お前なんかじゃ足らないんだろう。俺の腕の中で何回も喘いでいたぜ。邪魔だよ。どきな」

「達也、嘘だから。絶対嘘だから」

「何言ってんだ涼子。五時間抱いても、もっとって言って帰りたくないと言っていたじゃないか」

「嘘よ、達也。そいつの作り話だから」


「まあいい」


 俺にいきなり殴りかかって来た。こいつ馬鹿か。距離があり過ぎる。しかし丁度いい。そいつの拳めがけて俺の拳を思い切りぶつけてやった。


グシャ!


「ぐあぁぁ。俺の手が、俺の手が」

「残念だったな。もうお前の右手は使えないだろう。親指以外折れたからな」

「くそっ、警察に訴えてやる」

「一緒にお前が強姦しようとしていた事も一緒に付け加えたらどうだ」

「…………」


 白河が逃げようとしたので、俺はこいつを足払いして倒した後、首を膝で押さえて

「おい、涼子とお前を繋げようとしているのは誰だ?」

「し、知らねえよ。何の事だ」


 ぐぉっ、ぎぎぎっ。

 少し強く膝を首に押し付けた。俺の足を退かそうとしているが退かせる訳がない。手と足では力が違い過ぎる。

 更に押し付けると白河が地面を手で叩いている。少し緩めると


ごふぉ、ごふぉ、ごふぉ。

「マネージャだ。あいつは俺のセフレだ」


涼子が驚いた顔をしてる。




 涼子と白河が帰ってこないので気にしたのか、部長とマネージャそれに女の子が数人が探しに来た。


「本宮さん、これどういう事?」


 涼子が白河に襲われた事、その手引きをしたのが、マネージャだった事を教えた。セフレだった事も。


 部長が驚いた顔をしてマネージャの顔を見た。

「どういうこと?」

 マネージャが青い顔をしている。



 この後職員室に居たテニス部の先生と宿直の先生を呼んで説明した。警察への連絡は教頭、校長と話すという事にするらしい。

休み中だが呼ばれて学年主任先生も来た。同じことをまた説明した。


 マネージャは、もう四月から学校には来れないだろう。白河はもうテニスは出来ない。大学推薦もパーだろうな。



 その後、テニスの練習は中止になり、春休みの練習も中止になった。

四月初めは大変な事になりそうだ。



 もう午後四時を過ぎた所だ。色々聞かれ遅くなった。

 



 今、涼子と二人で帰り道を駅まで歩いている。二人共何も言わない。


 俺は、白河が言った事と涼子から聞いている事に大きな違いがある事にショックを受けていた。

 白河がその時の出まかせで嘘を言っている可能性もある。でも本当かもしれない。涼子は無理矢理されたと言っていた。でも白河は真逆の事を言っていた。

 もう本当に分からなくなってしまった。


 駅に着いて電車に乗っても何も言わない。涼子の駅に着くと彼女は目元に涙を思い切り浮かべながら

「達也、ごめんね。さよなら」


 それだけ言うと電車を降りた。


 俺は家に着いて自分の部屋に入ったが、全く頭が回っていなかった。


 そして春休み中、涼子から連絡が来ることはなかった。


―――――


 さてさて今後どうなりますやら。


次回をお楽しみに


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る