第6話 期末考査とその後で
「達也、期末考査もうすぐだね」
「ああ、これだけやったんだ。中間より点数取れそうだ」
「ふふっ、私も」
今日は日曜日、私の家のリビングで出題予想を兼ねて二人で勉強をしていた。もう午後三時。
「達也、今日はもうこれ位にして散歩しよ」
「う、うん」
俺は涼子と初めて勉強会を開いたその夕方に河川敷の公園で触れるだけだったけど初めてのキスをした。
生まれて初めてのキス。流石に恥ずかしかったけど、先週の日曜日は、しっかりとキスをしてしまった。というかされた。俺も少し慣れた。
こういうのはやっぱり女子が積極的なのだろうか。まだ手も繋げていないのに。手を繋ぐのも俺にとってはハードルが高い。もう少し先にしたい。
涼子と知り合ってからの展開が早すぎて、恋愛初心者の俺としては、頭がついて行っていない。
今日も散歩とからにはやっぱりあれするのかなと思うと心臓に悪かった。
「どうしたの達也」
「いや、少し胸がドキドキして」
「えっ、大丈夫?」
「全然大丈夫だ」
「ちょっと見せて」
「えっ?」
いきなり胸を触られた。うーっ、恥ずかしい。
「本当だ。ドキドキしている。達也顔赤いよ。熱あるのかな?」
今度はおでこを触られた。
「なさそうだなあ。少し落ち着いたら散歩行こうか」
「う、うん」
ふふっ、彼はキスの事でドキドキしているんだ。それを理由で彼の胸を触った。カチカチだ。
男の人ってこんなに硬いのかな?おでこも触った。顔が真っ赤だ。彼って本当に可愛い。普段きつい眼差しがふんにゃりしている。
彼と河川敷の公園に散歩に行って帰りにもちろんふふふっ、唇を合わせて、ずっと合わせてそして抱きしめて貰った。
でもまだ手を繋いでくれない。仕方ない。彼とはゆっくりと進むのが良いんだ。
まだ明るいから駅まで送って家に帰った。今週の期末考査は頑張らないと。
期末考査は、七月初めの木、金を使って行われた。結果は翌週に直ぐに出た。基本的には個人に科目毎の点数と総合点、学年内順位が紙で配られる。上位三十人は、廊下の掲示板に張り出された。
「達也十位じゃない、凄いね」
「涼子も二十五位だ。凄いよ」
「全然だめだよ。二学期はもっと頑張らないとね」
「ああそうだな」
私桐谷早苗。張り出された順位表を見ている。達也の奴、中間じゃあ三十位にも入っていなかったのに、あの子のお陰かな。でもあの子の方が低い。恋は勉強にも力を出させるのか。まあ私は十五位だからまあまあか。
その日の放課後、俺は図書委員として図書室に涼子はテニスの部活に参加している。
本当は三頭先輩の担当の日だけど、用事があるという事で俺が代わった。その代わり土曜日は無しになった。
俺が図書室を閉めて鍵を職員室に返して下駄箱に行くといつもの様に涼子が待っていた。
「達也帰ろ♡」
「おう」
校門まで並んで歩く。校門を出て少し歩くと
「ねえ達也。お願いが有るの?」
「えっ、何?」
「今度の土曜だけど、私部活早く上がるから買い物に付き合って欲しいんだけど」
「いいのか部活」
「ほんとは良くないんだけど…」
「涼子の買い物付き合うのは全然いいし、嬉しい位だけど、日曜じゃ駄目なのか?」
「どうしようかな?」
「…………」
そんなに急いで買うものってなんなんだ?
「じゃあ、じゃあ。土曜日は私が部活終わるまで待っててくれる?それと絶対日曜日は朝から一緒でいい?」
「いいけど」
どうしたんだ。何が欲しんだ?
「でね、でね。後、夏休みの事なんだけど。達也何か予定入っている?」
「いや別に」
「じゃあさ、一緒に遊ばない」
「全然良いけど」
分からん。涼子が何を考えているのか全く分からない。
ふふふっ、良し。これで土曜日の午後と日曜日一日会える。後はあの事を話して、あれを買いに行って。
「涼子、何ニヤニヤしているんだ?」
「えっ別にー」
「もうすぐ駅に着くぞ」
「あっ、じゃあまた明日ね」
土曜日の放課後、いつなら俺は図書室担当だが、今日は三頭先輩が受付に座っている。
涼子に待っていてくれと言われたので、何もする事の無い俺は仕方なく図書室で時間を潰していた。
窓からテニスコートを見ていると涼子が練習しているのが見える。俺は結構目が良い。遠目からでも可愛く見えるのは、俺があの子に惚れているからだろうか。
ここに入学した頃は、一人ぼっち。健司が偶々俺の前の席になり、あいつが挨拶をした事がきっかけだ。でもそのままだ。
自分から友達とか作る気も無いし、群れるのも好きじゃないし、そもそも話下手。それに一人は慣れている。
カーストなんて言っているけど俺には興味も無い。でも無視しちゃいけないんだろうな。面倒くせえな。触らぬ神ならぬ寄らぬ神にたたりなしだ。
「立石君、なにぼーっとしているの?」
「あっ、三頭先輩。受付良いですか?」
「今日は土曜日だし、それに見て誰もいないわ」
「いや俺いるんすけど」
「君は別よ図書委員だし」
「…………」
三頭先輩が隣に座って来た。
「何見ているの?」
「いや別に」
「そう、君って彼女いるの?」
「はっ!何を聞いているんですか。それ個人情報ですよね。…まあいますけどそれ以上は話しません」
「そっかあ、いるのかあ。まあ仕方ないか。君って見た目より結構優しいからね」
「先輩、見た目よりの所は消して貰えません。自覚はしていますけど」
「あは、ごめん、ごめん」
この人何言いたいんだ。
「もう三時半だね。閉めよっか」
俺は三頭先輩の訳の分からない話を終わらして下駄箱で待つことにした。
―――――
三頭さん何考えているんだ?
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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