第4話 歯ブラシ?

「そんなに前から 探していたとは全く知らなかったわ … 茉莉も噛んでたんだ」


つぶやく栗栖に まあねえっと軽く首を竦める茉莉、

蛍はそんな茉莉に構わず 栗栖に迫った


「お父上 最初から熱心だったんです。つまり あの頃にもう 小川、何かやらかしてますよね? この際 教えて貰えませんか?」


「そうねえ もう 時効かな?吹っ切れてるし 洗いざらい 話しちゃおうかな?」


蛍は目を輝かせて頷き 茉莉も話してくれるならぜひ聞きたいと頷いた。


「二人で お祝いにって ベビーベッド買ってくれたの覚えてる?」

「覚えてます。 双子なのに狭いから一つで良いって栗栖さんが言ったアレですよね?」

「折り畳み式でコンパクトになるから蛍と二人でご実家へ持って行ったのよね?」


「そうあれ、三か月検診も終わったからって あのベビーベッドと私の荷物とかを少し運ぼうと思って半年ぶり位でアパートに帰ったの…」



**


双子を母親に頼み 父親とアパートに帰った栗栖は 洗面所で見覚えのない歯ブラシや コンタクトのケアセットを発見した


え?っと思いながら リビングへ足を踏み入れると 部屋の男性が一人で暮らしていたには片付いている。

そして ベランダに 流花の衣類と一緒に 栗栖の物ではない女性モノの衣類が干されていた。


一緒に居た両親は怒り心頭だったが その分 栗栖は冷静だった。

驚きよりも やっぱり という気持ちの方が大きかったからかもしれない。


栗栖は しばし考えてから荷物を玄関に置いた。

この状況で 浮気の証拠は十分だが まだ言い逃れできる余地がある。

この時はまだ 栗栖の怒りは流花ではなく相手のオンナの方に向いていた。




AI【父が荷物を持っていきました。奥に運んでおいてください

流【OK /スタンプ


送ったラインに速攻で既読が付き 夕食時に現れなかった流花から 電話があった



「今日は忙しいから そっちへ行けないんだけど… 荷物届けてくれたんだね。

 来るなら前もって言ってくれればよかったのに… 」

「うん 父がそっちへ行くついでがあったから 荷物を置くだけだからお願いしたの」

「そう 散らかってるから驚いたでしょ?」

「さあ?部屋には入ってないと思うけど?」

「でも 今度来るときには先に連絡してほしいなあ」

「了解でーす」


何で 自分の家に帰るのに連絡する必要があるのよ?!と思いながら努めて明るく 軽い調子で栗栖は返事をした。



翌日 栗栖の兄は 実家に呼び出された。


「双子は可愛いなあ~ うちも双子欲しいな~」


何故呼ばれたのか理由を知らない兄は 双子を見て目を細めた 


「小川くん 愛の留守中に女性を泊まらせているらしい」


父親が言うと 兄は細めた目をかっとを見開き 釣り上げた


「なに?!」


昨日の一件を聞き 栗栖兄は怒り狂った。



翌日から 兄は夜になると 栗栖のアパート近くで張り込みをした。 

三日もたたないうちに 栗栖の部屋に女性が入って行く様子が確認された。


更に数日後 女性が入ったのを確認し 部屋の電気が消された後  


「こんばんは~ 愛に確認頼まれてさ~」


そんな事を言いながら 栗栖兄はアパートのチャイムをならし 鍵をあけて部屋に踏み込んだ。

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