第22話:なぜ、多様な価値観を認めないのか? ③-1

 しかし、そうなっても致し方ないような状況になってしまい、それらの既存概念が将来的な社会構造をゆがませてしまっているように感じる。そして、少子化の進行により、将来的には労働人口が減少することは確定的だろう。その中で、会社を維持していくためにはある程度の柔軟性や副業承認など社員が働くために拘束しない職業選択が出来るよう臨機応変な対応が求められる。


 これらの行為は社員に対して良い印象を与えないだけでなく縛りが強くなってしまうため、仕事の作業効率にも影響をしてくるように感じる。なぜなら、社員が興味を示していることに対して拘束することで本人たちの業務に対する疲労感が強くなってしまい、業務に対する嫌悪感などが生まれてしまうと問題が大きくなってしまうのだ。


 もちろん、平日を含め出勤日は社員としてはやりたいことを我慢して会社の業務に携わっているわけだから、休日まで干渉する必要はないのだ。しかし、そのようなことが定常化していない結果、副業をしたいと思う社員にとっては会社という組織に対して嫌悪感や不信感が募っていく。すると、会社にいる意味を感じることが出来なくなり、退職をして第二の人生を歩んで行ってしまうのだ。もちろん、彼らにとってはそのような選択は人生の転機になり得る程の大きな決断になる。そのため、多くはブログなど自らの価値観を発信している人もいるし、独学で副業の勉強をしている人もいる。そういう人たちを失わないためにも副業や個人の主張などを尊重し、会社の機密情報以外の発言や投稿に関しては直接的に干渉するべきではないと思う。


 組織に属している人はそれぞれの価値観を押し殺して組織の価値観を尊重し、それらを基に会社のために働いているのだ。それをプライベートまで拘束されてしまうと息が苦しくなってしまう。


 日本というのは協調性という目に見えない壁を敷き詰めて個人を監禁しているように感じるのだ。確かに、周囲から見ておかしいことはおかしいと言うべきだが、それぞれの価値観に基づいて毎日をひとりひとりが自分を信じて生きている。しかし、その価値観を壊す権利は誰も持っていないし、それを第三者が干渉することはその人の生き方を否定していることと同じだろう。仮に自分が同じ状況・立場に立ったときに同じ事をされるとどう思うかを考えることが出来るなら問題をすり替えてはいけないと思うのだ。


 日本はまだまだ多様性を受け入れることは難しいだろう。なぜなら、自分と違うというだけでいじめる人もいる、そのことを否定する人がいる。それでは“多様性を認めましょう”と言ってもなかなか難しいだろう。

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