第21話:なぜ、多様な価値観を認めないのか? ③

今の日本では他人の問題に介入することはあまりなく、自ら問題が起きても自身で声を上げることは出来ていない。その結果、発見が遅れて状況が収拾不能になってしまうこと、状況の悪化等により精神疾患などの発症と負の連鎖が起きる可能性があり、これらの問題が現在の閉鎖的な状態を打破することが出来るようになることが望ましく、これらの問題を長期間にわたり放置してきたことが昨今の人材不足などに直結していってしまっているように感じる。


 現在は、多岐にわたる業種の拡大やそれらに参入する年齢の低年齢化など労働よりも好きなことを仕事にすることで生きていきたいと考える人が増えている。そのため、就職していても早期退職率が高い傾向にあり、若年層の労働人口の確保が難しい状態になっている。そのうえ、採用活動に関しても既存の雇用形態や既存の採用活動を行っている傾向にあり、早期退職者が生まれてしまう理由として、人間関係など一般的な自由もあるが、ミスマッチングや“とりあえず就職したい”・“夢を追うためにまず経験したいと思ったから”という自己的理由が就職を後押しするのだ。


 しかし、これらの状態に対して一切の打開策や新たな労働形態を提案することなくここまで来てしまった結果、労働人口の確保が難題化していき、若年層が新たな労働形態を新規開拓している現状を考えると、これからの就職活動における新規就職希望者の割合は次第に減って言ってしまう可能性が高いのだ。もちろん、若年層が全てそれらの労働に従事する訳ではないが、優秀な人材は個人活動などに流れていくことになる。その結果、企業側が求める人材像など思い描いた採用活動が出来ない、企業などに似合わない人材が増加してしまう可能性があるのだ。現在の飽和状態が継続してしまうと、既存の企業もピンチに追い込まれる可能性があるのだ。そうならないためにも多様性を受け入れ、その中でどのように活躍できるようになるかを模索できる環境の整備が必要になってくるのだろう。


 ただ、これらの問題に対する社会的論点は一切聞こえてこず、このままだと雇用崩壊などを招きかねない。もちろん、企業努力で回避できる部分もあるが、現在の企業は良い人材を囲い込む傾向にあるため、良い人材が少なくなると採用人数が減っていく傾向にある。もちろん、採用しないという選択をしてもすぐに会社が成り立たなくなる訳ではないが、1人当たりの業務が多くなるため、過労や残業超過などにより体調不良になる社員が出てくる、本来持っている個人の能力を発揮できなくなるなど企業にとっては業務効率や利益率が下がることになるため、あまり好ましくない。


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