第16話: なぜ、社会は変わらないのか? ③-1

現在、失業率が上昇しており新たな職場が見つからないもしくは所得低下により一定水準の生活が営めないという人も少なくない。そのような人たちはアルバイトを探すが、アルバイトもなかなか受からない人もいる。


 私自身、アルバイトとパートは労働基準法で一定程度の保証を担保しないと、会社にとっては“流動人材”という概念しか浮かばない。


 その結果、退職金などを支払わなくて良く、固定給ではなく、不定給で雇用できることから会社の経営が順調なときには会社側から重宝されても、何かあったときには一番先に整理されてしまう。


 これは、正規雇用社員以外には全て当てはまる。


 しかし、雇用保険や社会保険が適用されるのは派遣社員や契約社員など一定期間以上の雇用契約を有する雇用形態にしか適用されない。そのため、パートやアルバイトなど雇用契約を結ぶ必要の無い雇用形態には一切適用されないのだ。そうなると、前者は支払われるべき給与以外にある程度の保証金を受け取れる可能性は有るが、後者は給与のみで保証金などが受け取れる可能性はない。


 これでは、安定した雇用の維持にはつながらないだろう。むしろ、この社会情勢において雇用を安定させるためには平等な賃金形態と不当解雇などの労働権の侵害等が横行し、正社員であっても違法な人材選別を減らさなくてはいけないだろう。今は不当解雇されてもなかなか声を上げる事は難しい。まして、新卒採用や中途採用など最初からその会社にいた訳ではない人たちにとっては下手に声を上げて次の仕事に影響が出ても困ると思うからだろう。まして、地方などは近隣との関係も深くなっている場合もあるため、情報の伝達スピードが速く、何かをする度に噂として出回ってしまう可能性があるのだ。


 だからこそ、悪いことは悪いと言いたいが、周囲の目が厳しくなりすぎてなかなか言い出せなくなった結果、本心を出せない人が増えていってしまうのだ。


 日本というのは弱肉強食の世界のように強い人が弱い人を守るという意識があまり浸透していないように感じる。そして、双方のパワーバランスが平等になっている感じもしない。そのため、消費者トラブルでも、雇用問題でも目立つのは組織が個人を潰しにかかっているような印象しかない。


 いくら間違っていなくても“とりあえず調べてみる”・“相手の立場に立って考えてみる”など自分がその人の立場に立ったときに同じ事が言えるかどうかと考えると、その人に寄り添った対応も出来ますし、なんとか解決や和解が出来るように話しを円滑に進めていくことも出来る。


 そして、そのトラブルなどを凡例として社内共有することで類似する決済やトラブルなどが再度発生した際も決済キャンセルや代理店調査の迅速化など双方にとって再発防止に役立つのだ。

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