第12話:経済格差は妥当なのか? ⑤

 その結果、お金を得るために犯罪に手を染める人や仕事がなくなり無理心中をする人など通常ではあり得ない事件や行動が目立ってしまう。これは最悪の事態を回避したいと思っているが、回避する術がないもしくは回避できたとしても生活に余裕がなくなるなど自分が助かるための正常な判断が出来ていない状態になっていることが要因だろう。


 例えば、元社員が会社に押し入って元上司を切りつけたとして、マスコミなどは「犯人が悪い」というスタンスで報道することもあるが、これらの事件を起こす背景には何らかの要因となる出来事が絡んでいる場合が多い。そして、失業率の上昇により職を失って、所得も失ってしまった人が再就職をするためにもすぐに見つかる場合はいいが、解雇などは社会的イメージがあまり良くないため、その人の道を狭めてしまうことがある。そのため、会社や上司など所属していた会社や企業に対しての憤りと妬みが積み上がったことで“同じ痛みを味わえ!”という感情が湧き出してしまうのだ。もちろん、会社もそれ相応の処分が必要だった場合には正当な判断とみなされるが、そうではない場合はきちんとそうならないように話合いなどをきちんと持つことが大事だろう。今は解雇でも話合いや補償を決めないで、一方的に解雇するケースもあることから見方によっては“社員いじめ”や“職権乱用”として捉えられてしまう場合がある。


 現行の社会情勢を見ると、経済崩壊の足跡が少しずつ見えてきている。しかし、それらを止めるにはすでに手遅れとなってしまっているように感じる事が多い。なぜなら、上の指示に従ったことで下が苦しんでいるという状況にもかかわらず、その苦しんでいる状況に対しての対応が政府を含め不十分だったことがこのような最悪の事態を招いている可能性は否定できない。もちろん、企業努力でなんとか出来るのは大手企業の一部や大手企業の協力会社などのすでにネットワークが整備されていて、資金力があまり落ちることがないような企業が多い。


 しかし、そのような企業に勤めていてもしわ寄せが来てしまう人がいる事を忘れてはいけない。では、どうすることが大事なのだろうか?それは、何らかの損益もしくは損失が出る可能性がある場合にきちんと補償や一時借り上げなどその企業や店舗を存続できるように支援すること、仮に失業してしまった人に対して、失業手当以外にも一定額以上の上乗せをするべきだろう。パートやアルバイトであってもその人の生活がある訳なのだからその生活を営めなくなっては本末転倒だろう。

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