第7話:なぜ、人は間違った判断をするのか? ⑤
私は、可能なら平等な扱いをしないといけないと思う。なぜなら、親会社と子会社は業務提携をしているというだけで上下関係は変わらない。しかし、日本というのは企業を規模区分で分けるのが定常化してしまっているために無意識のうちに偏見や固定概念などが生まれてきてしまう。しかも、社会的価値や社会的信用も有名になるとなるだけ上がっていくため、相手の懐に入りやすいのだ。もちろん、大手だから何をしてもいい訳ではない。もちろん、大手だから出来る事もあるのだが、それをむやみに乱用すること、間違った方法を用いて強制的に納得させるなど双方における損得勘定の在り方が公平性を保てなくなることだけは避けるべきだ。
今は自らの価値観が他者を測る物差しになっている場合も多く、これらの問題に対して自己中心的な考えを持っている人が少なくない。これでは、日本の行く末が危ないだけでなく、場合によっては社会的影響力が高い人を使ってでも認めさせようとする人が増えていく可能性があるのだ。
もちろん、個人の価値観がずれていてもそれは“個人的な価値観”という認識でかまわないが、それを攻撃して周囲を不快にすること、誹謗中傷してその人の不利益になるような行為は避けなくてはいけない。これは、当たり前の行為なのだが、今の日本では残念ながらあまり浸透していないような印象が強い。私は匿名性アプリやSNS等が増えているが、ほとんどは顔出ししなくても利用することが可能となり、投稿する内容が規約などに抵触・違反していないなら問題は無い。しかし、それらの行為に対して罰則やきちんとした対処が出来ていないと、収拾不能になる可能性があるのだ。もちろん、ちょっとしたことが大きな問題に発展する事もあるため、モラルを説いても自我を失っている状態では難しいのだ。
私は正しいと間違いは紙一重でかつ少しの見方を変えるだけで肯定的にも否定的にも取れる。だからこそ、その人の中にどれくらい良識と見識があるかで変わってくるのだ。例えば、部下をいじめている上司がいた場合だと良識のある人はその人を助けるための手段を考えるが、そうでない人はその人のやられていることを傍観している場合が多い。その結果、前者はいろいろ試してその人がいじめられているという現状から脱却させ、元の状態に戻すために努力するが、後者は人によっては上司がその人にしているようなことを模倣する可能性もあり、そういう行為をして上司から気に入られようとする可能性も否定できない。
もちろん、法律上規定がないことは個人の基準が適用される場合があるが、そのことが社会理念上問題ないなら干渉する必要がない。ただ、倫理的・道徳的立場でこれはやってはいけないという判断が出来るようにならなくてはいけないように感じる。
しかし、今の日本は下には厳しいが、上にはあまり厳しい印象がない。そのため、会社などで上司が部下に対して働いたハラスメントや暴力行為などが表面化することは少なく、会社などの過失もほとんどは表面化することなく黙殺されていくのだ。
そして、個人では間違っていることに対して異議を唱えることもないため、組織でそれらを利用して個人を潰していくのだろう。これでは、日本が崩壊するのは時間の問題だろう。
なぜ、個人と組織が水と油のような存在になってしまうのだろうか?それは、“自己防衛的思考”が企業間において定常化していることが原因だと考えている。
ここで考えなくてはいけないのが、“相手に選んでもらう”という考え方だろう。これは、たくさんある会社の中からその会社を選んでもらえるようにするという企業努力の賜物であり、企業努力をしたからこその結果なのだ。しかし、顧客を獲得するのは難しいが、一度選んでもらった顧客を失うのは簡単だ。これは、企業の応対もそうだが、1番はその人が感じる不信感だ。例えば、企業なら個人に対してミスにより損害を与えてしまった場合に誠意ある対応ではなく、突き放してしまうなど自らのミスを認めず、自己責任という考え方を押し出すことで相手からの信用は完全に失うということになる。
これが個人だと双方に言い分があるため、なかなか埒(らち)が明かない場合が多い。このような場合は相手がどのように思っているのか?も重要だが、相手の思いを汲んで行動できるように努力することが必要でお互いのわだかまりを少しでも軽減させて関係維持を図ることが大事だろう。
今は「自分だけが助かれば良い」や「自分の会社だけ良ければ」という考えではこれからの社会では通用しなくなってくるが、未だにその言葉に依存している部分はどうにかして改善しなくてはいけないだろう。
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