第6話:なぜ、人は間違った判断をするのか? ③-1

 次に“危機管理能力の不均衡”だ。これは、個人で出来る危機管理と法人などが仲介しないと明確に出来ない危機管理に分けられるが、前者では一定程度の問題は対応できるが、一定以上の問題になってしまうと、対処するのは難しいのだ。まして、企業などが絡んでいる場合には後者にも関与してもらわないと完全解決や和解は難しい。


 今の日本はどちらかというと企業の方がパワーバランスは強い。そのため、何かミスをしても全力でもみ消しに来る場合もある。しかし、それでは相互解決には至らないし、逆に信用の喪失につながる可能性を生んでしまう。


 最近は、個人の過失がない問題やトラブルが多発しているが、それに対してきちんと対処しない会社はたくさんある。


 例えば、開業届や登記など会社を起業するにも簡単にできてしまい、仮に偽名などを使っていたとしても問題なく出来てしまうのだ。そして、そのような会社の動向や金融取引などもきちんと管理されているとは言えないにもかかわらず、放置した結果、巨額の詐欺事件や不正利用といった犯罪が蔓延してしまうのだ。


 これらの危機管理は個人では追い切れない部分が多く、個人では法的事項に抵触することもあるため、情報を開示してもらうにも一筋縄ではいかないのだ。そして、それらの被害などは気がつかない場合が多い。


特にカード決済や口座振替など信販会社や金融機関で処理される取引に関しては今後、高額な一括払い、ローンなどの分割決済契約など契約書の発行が必要な支払いの場合には契約書を、それ以外の場合は証明できる書類を提出することを義務づけるべきだろう。現在の法令では契約書を作ることが義務になっているが、一度決済をしてしまうとトラブルが起きても対処しよう長いことが多い。また、決済をしても契約していることの証明が取れていないことも多く、これらの簡略化が詐欺などの犯罪行為を誘発している場合が多い。だからこそ、少しでも疑いがある場合には信販会社や金融機関が警察や消費者庁などと連携して食い止める必要性や信販会社もしくは金融機関から名義人に対してきちんと通知することや仮に誤決済・誤振替等が発生した場合にはきちんと補填するなど個人の損益を軽減する必要があるだろう。


 次に“反社会的行為の定常化”だ。これは、反社会的行為(=いじめやハラスメント、暴力などを伴う行為)が他国に比べて蔓延している部分が多い。これらの行為は幼少期から積み上がっている部分も多く、段階的にルールなどは分かってくるのだが、どうしてもその人よりも上に立ってしまうと自分よりも下の立場の人のことが見えなくなるなど弊害が多い。


 これらの行為が会社間のパワーバランスにも作用しており、大手企業から下請けに回るときも単価を下げて発注するなど自社利益が優先されているような印象だ。


 今の日本は会社やグループなど組織が大きくなるとなるだけ影響力が強くなっていく。その結果、立場の弱い人に対して力でねじ伏せようとする行為が横行してしまうのだ。

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