第5話:なぜ、人は間違った判断をするのか? ③

私がこう考えるには理由がいくつかある。まず第1に“責任の所在の不鮮明”だ。今の日本は個人で責任を持たなくてはいけないという風潮になるが、不正利用や詐欺などは個人で判断できない場合も多い。そこで、信販会社や収入管理代行などその企業との代理店契約を結んでいる専門機関が決済管理を行い、一定額以上の決済に関しては企業名が信用できる場合には即時決済、そうでない場合や返金処理履歴のある決済に関しては一時保留し、企業の信用調査と警察や消費者庁などへの相談の有無を確認することが大事だろう。これは、手間がかかっても被害拡大防止の観点からやらなくてはいけないと思う。もちろん、それでも防げなかったとしても事後処理することは必要だろう。


次に“未然に防ぐための対策が不十分”ということだ。これは、契約や支払いに関しての法律は存在するが、きちんとそれらの手順を踏まずに行ってきたことに対する弊害が起きているのではないかと感じる。例えば、詐欺事件に関しても契約書などの有無や類似案件の相談状況などを加味しておかなくてはいけないように感じる。今の信販会社は決済されたらそのまま決済処理をしてしまう。しかし、これでは詐欺集団の思うつぼなのだ。これらの対策が不十分だった一例として露呈したのが、一部金融機関におけるキャッシュレス決済を伴う不正出入金事件だ。これは、その人の口座に紐付けられている口座から知らない間に現金が抜かれているという事件なのだが、これは金融機関が被害額を把握することと補償を開始している。しかしながら、これらのシステムに不具合があったかどうかは定かではないが、1番は何かあった際にどれだけ迅速に対処を出来るかだ。


 今の日本は一方的な責任転嫁が行われているケースも少なくないし、場合によっては被害を拡大させてしまうのだ。だからこそ、未然に防ぐための対策を行う事を国主導で行わなくてはいけないように感じる。そして、各関係機関とも連携を取り、詐欺や違法送金など犯罪の温床となってしまう事態をなんとかして避けられるようにするべきだろう。


 私は、高額契約の場合は契約書を信販会社に提出し、きちんと契約を交わしていることが証明できてかつ契約が遂行されていないなど個人的事由ではない中途解約や契約不履行などが起きた場合にはきちんと対処する事が出来るようにするべきだろう。まして、現在は詐欺の手口が巧妙化しており、個人では判断できない場合も多い。そこで最後の砦になるのが、信販会社や金融機関などの決済処理や支払い管理をする部門だ。なぜなら、相手の情報を知っているのはそのような企業しかいないからだ。もちろん、個人で警戒をしないといけないのだろうが、なかなか難しい部分もある。


 今の社会は間違っていることも簡単に曲げて正しいという認識にすり替えられてしまう。特に組織などのルールを尊重しなくてはいけない人たちにとっては仮に間違ったとしても押し通さないと負けてしまっては元も子もないのだ。


 だからといって、間違っている事を押し通しても被害拡大が深刻になり、逆効果になってしまうのだ。


 そのような時のためにきちんと審査できる第三者機関や調査・審査等を監視する機関を設立し、被害が拡大しないようにすることがこれからは重要だろう。

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