第2話:人はかけがえのない個性 ②

 今の日本には1億通り以上の個性がある。それらを生かすのか?それとも殺すのか?で日本の雇用情勢や製品開発などに対するヒューマン・リソースに大きく影響してくる。もちろん、全ての個性がバランス良く混ざることは難しいかもしれないが、お互いに不足分を補いながら前に進んでいくしかない。ただし、その人に合う環境と合わない環境もあることからその辺りの配慮が必要になる場合もある。


 今は自ら個性を表に出せる人もいるが、相手によっては全く表に出せない人もいる。その結果、前者は前に進めるが、後者は足踏みの状態になってしまう。これでは、個人の意思表示にも影響が出てくる場合もあり、そのままうまくいかない事で社会から離れていってしまう場合が多い。


 現在、政府もひきこもり支援や就労困難者に対する支援を検討しているようだが、それは“支援”ではなく“強要”に近いような気がする。現在、未就業者の数も増えており、そこにたたみかけるように感染症による失業者が増加している。しかしながら、企業側には雇用できる余裕はないように感じる。そして、長期未就労者にとってはブランクなどを考慮しても再び組織に戻れるという確証はない。だからこそ、個人で出来る事を本人が出来るように支援し、在宅で職を手に付けて自立できるように促すことも重要だろう。特に、対人障害などを持っている場合には表に出ることが難しい場合が多く、出来る職種も制限されるため、なかなか安定的な労働・就業につながりにくい。


 そして、会社側も特定の人に対するハラスメントなどを行って、職を剥奪するなど本人たちが継続的な労働を求めても会社という大きな力が働くと個人の力は皆無となってしまう。その結果、解雇されたことの心的ストレスにより、次の仕事を始める際に会社を信用できない、今度は何されるのだろう?と疑心暗鬼してしまうことも多い。これは、1度目ならそこまで大きくならないが、2度目・3度目と回数が重なっていくだけで本当に会社に対して怖いという印象しか持たれない。その結果、会社で働きたいと思っていても、怖くて何も出来なくなってしまうのだ。


 私は3度会社に入ったが、3度とも不思議な終わり方をしている。その結果、今でも喪失感が和らがず、どのようにすれば良いのか分からない。すぐに就職活動をはじめて、新たな職場を探した。しかし、いくら応募しても会社側から採用の連絡は来ていない。つまり、社会から除外されたという認識で間違いないだろう。そのような人たちがこれ以上増えていくと社会が取り返しの付かない事態に発展しかねない。


 人を大切に出来ないと失わなくて良いものまで失ってしまう。だからこそ、人が悩むときに寄り添う、いくら伸びないからと言って切り捨てるという行為は本来あってはならないのだ。




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