第22話 エキゾチックタヌキ
いぬころゲームは不評だった。
犬を怪物チックにしてしまったのが悪かったらしい。
次はタヌキの夫婦の片方を殺すゲームにしようかな。
午後二十一時、そろそろ寝る時間。明日も学校。四時には起きたい。母におやすみを言いたいと書斎に行くと母はいなかった。
同じ家の中なのに、書斎に入ると別の匂いがする。書斎独特の、匂い。
相変わらず、変な絵や、本、資料が散乱していた。机には小さな額縁が並んでいて、近くの額縁の中には大きな蜘蛛の体に女性の上半身のついた絵が入っていた。
その隣には、サルなのか虎なのかライオンなのか、その尻尾に蛇のついた変な絵も置いてある。
この書斎には入らない方が良いと母に言われた。見える所にあるものも十分変だけれど、見えない所にあるものはもっと変なんだって。
母の趣味じゃなくて、母の母がこういうのを好きだったらしい。私は会ったことが無い。私が生まれた時には、祖母、というのか、祖母は無くなってしまっていた。
祖母が生前に書いた手紙なんかも置いてある。でも例え死後であったとしても、それは祖母にとって大切なものであり勝手に見てはいけないものだ。だから見てない。
乱雑に散らばっていながらも掃除が行き届いているのは母が掃除をしているから。
乾いた血は鉄の臭いがしない。
祖母の命日には沢山の人が来る。でもどの人も親戚ではない。
頭に手を置かれて振り返ると、母が私の頭に手を置いていた。
私の頭を撫でてくる。耳を両手で塞いでくる。母の体は温かい。おやすみなさいと言い、私は目を閉じた。寄りかかるよう母の体に埋もれる。
「甘えんぼさん」
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