第4話 自殺の痕には


 冷めた地面と近くに見えるコンビニの明かり。

 遠くで鳴る。鳴き声に似たうねり。

 白線の上、落ちて来たら、押しつぶされてしまいそう。

 目にかざした指の隙間、ゆらゆらと――揺れているのは明かり、それとも私。

 手に持った銀紙の、中身はきっとチョコレート。

 そこは優し気で、覗く者には遠ざけるように厳しい。

 このやり方はあまり良くない。

 あと一歩踏み出せば、きっと業火に焼かれてしまう。それは悪い事では無いけれど、楽しそうにも思えない。

 夜中に外へ出るのはよくない。人間は情報の七割を視界から得ている。夜の闇を恐怖するのは情報の七割を失ってしまうから。

 蹲る人、震えながら立ち上がり、私に対してナイフを突き出す。

 車の明かりが私の目の前を通り過ぎていった。

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