第1話
早朝の冷たい空気を吸い込みながら歩いていると、肩にぽんっと手を乗せられた。いつも通りのことなので、驚きもせずに挨拶する。
「おはよ」
「おはよぉー」
のんびりとした声で挨拶をしてくるのは、親友の
「今日は?」
単語を極端に省いた質問にも、淡々と答える。
「まだ」
「そっか」
「でもきっともうすぐ来るよねー」
香織が苦笑しながら言う。
その3秒後、一人の男の子が突撃してきた。
「
毎日のことなので間髪入れずにぴしゃりと返事する。
「ごめんなさい、無理です」
「まじかー、まぁ、毎日のことだしね」
告白をばっさり断られてもからりと笑うのは、幼馴染の
そんなことを考えながら歩いていると、香織が顔を覗き込んできた。
「大丈夫?隈あるけど、昨日ちゃんと寝た?まさか
「そのまさか」
香織は毎年ミスコン1位。同性でも、どきっとしてしまう.......らしい。まぁ、私はときめいたことがないからわからない。そんな私だから安心して一緒にいれる.....と香織が呟いていたのを聞いていたのは秘密である。
「うっわ、そのまさかかー。ほんとに大丈夫?お母さん忙しいんでしょう?」
家族についても紹介しておこう。私が幼い頃に、お父さんとお母さんは離婚したらしい。なんでも、価値観があわなくてストレスが溜まったそうだ。お父さんは信頼よりもお金、お母さんはお金よりも自分の命、自分の命よりも子供の命。お母さんの人を疑わないような考え方も逆にすごいと思えるが、道徳的にお金が1番なのかはどうかと思う。確かにお金で買えないものはない、ならそういう価値観の人も一定数いるだろうが。お母さんは看護師で、一日中働いている。弟の
ふと、気づいた。
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