愛しい時間


〜♫♫〜♪


 「はい、神夜月です。」

 ーもしもし?俺俺。

 「・・・貴方ねぇ。引っかかるわけないでしょ。」

 ーあははっ。やっぱりなー。

 「今日はどうしたんですか?」

 ーぁー、手紙届いたんだ。だから新鮮な野菜達を嫁に出そうかなって。

 「それはそれは。楽しみですねぇ。貴方の作る野菜さんは美味しいですから。」

 ーだろー?土が違うからな。それに畑仕事って結構いい筋トレになるんだぜー?ここは水が良いから川魚も美味い。今度皆で山菜取りに行こうって話てんだ。そっちじゃあんま食えないだろ?沢山送ってやるから。勿論下処理もばっちりで、

 「ちょっと。無駄話が長いんですけど。用件は何ですか?」

 ー無駄ってお前。

 「そんな事手紙に書けるでしょ。わざわざ電話してきた訳を聞いてるんです。電話だってお金かかるし、貴方公衆電話からでしょ?」

 ー・・・悠真寝ちゃったんだよ。

 「はぁ?」

 ーだから、悠真が寝たんだって。

 「貴方の電話と悠真が何の関係があるんですか?」

 ー悠真がさ、名前呼んだんだよ。

 「・・・言ってる意味がわからないんですけど。」

 ーだからな、悠真が俺の名前呼んだって言ってんの!ヤバくね!?

 「ええ。貴方の頭はかなりヤバいですよ。悠真の事となると語彙力低下しますからね。」

 ーあー、マジ聞いて欲しかったわー。もぅ、マジで可愛いかったからさっ!

 「あのですね。僕これでも忙しいんですよ。貴方が弟の世話をしてるように僕もこれから妹とお風呂なんで。」

 ーさっきまで起きてたのに抱っこするとすぐ寝ちゃうんだよなー。ぷにぷにしてて可愛いーぞ?

 「良かったですね。」

 ーあははっ!桜音はわかりやすいなー。声だけでイラついてんのわかるぞ。

 「その原因は貴方でしょ。」

 ーまぁそう言うなって!こんな話お前しか聞いてくれないんだからさ。

 「家族に話て下さい。」

 ー勿論、じっちゃん達には話てるさ。皆で愛でてるからなぁ。ホントに可愛いから!自慢の弟っ!写真送ってやるよ。悠真が大きくなったら川釣りしたり、山登ったりしてさー。

 「貴方ほんっとに遊びに全力ですよね。ちゃんと勉強してるんですか?」

 ーしてるしてる。大学はそっちにもどるから。

 「・・・どうだか。そのまま悠真育てながら農業するんじゃないです?」

 ーそれもありだなー。

 「・・・貴方ねぇ。」

 ーその時は桜音がこっちに来てくれるだろ?

 「・・・嫌ですよ。貴方がこっちに来てください。」

 ーあははっ。ま、来年の夏休みくらいにはそっちに行けるだろ。そしたら悠真は初めての旅行だなー。

 「その時にうちの可愛い妹にも会わせてあげますよ。」

 ー桜音に似てるなら美人さんだろうなー。楽しみだ。

 「・・・っ、」

 ーあ、悠真が起きた!ほら、悠真。・・・ちょっと待ってろ、抱き直すから。

 「・・・。」

 ーほら、はるって言って。・・・こっちに向かって。・・・まだ眠いかな?ほら悠真ー。はーる。さっきみたいに「はーる」って。

 「・・・起きたばかりでしょう?可哀想だからやめなさいよ。」

 ーはーる。ほらー、悠真ー。はーる。

 「・・・このブラコン。」

 ー・・・あーうー。

 ー・・・ほら!聞こえたか!?今、はーるって言ったぞっ!

 「・・・ふ、あっははっ!!どう聞いたら「はる」ですかっ!あーうーにしか聞こえませんっ!

 ーはっ!?ちゃんと「はーるー。」って呼んだぞ!?

 「ふふっ、耳鼻科に行かれたらどうです?・・・おかしっ。うちの妹はしっかり言えますよ。「おねえ。」って。李桜ちょっと来てー。・・・今ね、お友達と電話してるんですけど。少しだけ、電話変わってくれます?」

 「もしもし?」 

 ーあー。

 「りおんです。」

 ーうー。

 「おなまえなんですか?」

 ーあーあー。

 「こんどいっしょにあそんでください。」

 ーぁーい。

 「はい。おねえにかわる。」

 「ありがとう李桜。ほら、李桜の方がお利口さんでしょう?」

 ー聞いたか!?今悠真が返事したぞ!

 「・・・悠臣。いい加減にしなさいよ。」

 ー怒るなって!それより悠真が、

 「そろそろお風呂に入らないと。それでは。」

 ーあー!ちょっと待て待て。李桜が良い子なのはわかったからっ!うん、悠真も李桜も良い子だな。おっきくなるのが楽しみだ。

 「そうですね。それまでには貴方も成長してると良いですね。」

 ーあはは。俺が立派にならないと悠真が困るもんな。ダメ兄貴と言われないようにしないと。・・・やば、悠真が反抗期になったら俺泣くかも。

 「泣けばいいですよ。」

 ーその時はお前が泣き止ませてくれよ。ガキの頃泣き止ませてたのは俺だったから。

 「いつの話ですか。」

 ーこれ以上喋ったらマジ切れしそうだし切るな。

悠真もお腹空いたかもだし。

 「はいはい。では体に気をつけてね。」

 ーああ。そっちもな。また電話するよ。

 「ええ。待っています。」




 



 

 

 


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