第1話 先客!?

 俺の設立した部活は最高だった。

 教師たちからは「部活、部活」言われない。

 部活といっても一人きり。

 放課後、部活という建前で与えらた部室で昼寝をしてもスマホをいじっていてもいいのだ。

 学校に俺専用の部屋ができたようなものだった。

 これって、悪くない。

 いや、かなりイイ‼


 俺は部室を第二の自分の部屋としていろいろなものを少しずつ持ち込んだ。

 スマホの充電器に気に入っているけどそろそろ置き場所に困る古い漫画。

 そんなものを毎日少しずつ。

 自分の城を作っていくという感じだった。

 城なんて言葉は大げさすぎる環境だったけれど。

 なんせ、一番古い校舎の端っこの部屋の半分だけなのだ。

 他の部活は専用の部屋があるけれど、俺の作った部活は急ごしらえな上にあの面接した教師が半ば強引に承認してくれたらしい。

 そのため、割り当てられたのは半分物置小屋みたいになっている、いや本当に部屋の半分が得たいの得体のしれないもので埋め尽くされて、かろうじてパーテーションをたてて半分だけがなにもない空間になっているただの教室だった。

 だけれど、俺一人きりならそれでも十分な広さだった。

 学校という公の空間に自分だけの領土があるというのはすごく安心できる。

 もちろん、学校のもちものなので鍵は学校側も持っているが、わざわざ部室を確認する教師なんていない。

 全員に部活を推奨するなんてことをしていても、一応、昔からの進学校なのだ。

 生徒の自主性を重んじ、生徒は危険なことをしない代わりに自由を謳歌できる。

 そんな暗黙の了解があった。


 俺はすっかり自分の作った部活動が気に入っていた。


 そんなある日のことだ。俺の邪魔をするあいつが現れるようになったのは。


「あなた……だれ?」


 俺がいつものように放課後、部室のカギをあけてなかにはいるとその女子生徒はいった、

 サラサラの長い黒髪に、少々短めなスカート、ハッとするほど白い肌。

 大きな黒い瞳はつややかで意思が強そうな半面、どこか寂し気だった。

 あまりにも彼女が美しくて俺はしばし、言葉を失っていた。


 そして、そのあとにやってきたのは混乱だった。

 俺は確かに教室のカギを自分で開けたのに、なぜ先客がいるのか?

 おかしい。

 おかしすぎる。


 目の前の美少女はうちの学校の制服を着ているが、本当にうちの学校の生徒ならば今頃みんな部活動にいそしんでいる時間なのだ。

 部活にはいらない変わり者なんて、俺以外にこの学校にはいなかったはずだ。

 なのに、どうして?


 これって、もしかして、いいたくないけれど……幽霊⁉


 俺は悲鳴をあげるよりも先に教室から飛び出し、走り出した。

 だって、そうだろ?

 悲鳴を上げている暇なんてあるならば、この信じ固い状況からいち早く抜け出して自分が安全だと思える場所にいったほうがよほど健全だ。

 どうして、恐怖の対象を前にしたまま固まらなければいけないのだろう。

 ホラー映画の登場人物たちはしばしば間違いを犯すのだ。

 俺は善良であり、そして危険なものからは可能な限り遠ざかる。

 きっとそうすれば、生き延びることができるから。

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幽霊部員は元学校一の美少女でした 華川とうふ @hayakawa5

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