第16話 

 ガラスが割れる音が響いと同時に、その空間からソレは出てきた。


 頭に無数の蛇がうねうねして、顔は骸骨で身体に女性もの鎧を着て背中の右側に白い天使の翼、左側に悪魔の翼があり、骨の腕が4本あり、2本の長いランスを持って、下半身も鎧を着つけた黒い馬で大きさ3メートル程あった。


「Gyaaaaaaaaaoooo!」


 雄叫びともに身体からおぞましい魔力を放ってこちらに突進して来た。


「え?」


 大鎌を軽々と片手に持ち無言でシュイは呆けた顔のテイジをお姫様抱っこして飛び上がり、白い翼の女性は翼を広げて上空に回避して、ユエとネメシスは同時に左右の横に避けて、洞窟が衝撃で崩壊した。


 苦虫を噛んだ顔でユエが、


「せ、聖魔[せいま]!?」

「聖魔?」


 テイジはお姫様抱っこから解放されて、その言葉にテイジとシュイは初めて聞いて首をかしげた。


「異界の世界にいた女神が何らかの方法で魔の力を取り込んで、魔の力に支配された魔物化して、別の異世界を自分のティートリーを広げる為に襲ってくるの!」

「それが、介入者[かいにゅうしゃ]じゃな・・」


 ユエは説明してネメシスは続けて、


「Gyaaaaaaaaaoooo!」


 立ち上がりランスを投げてシュイは大鎌から障壁を作り、


「くっ!」


 弾き飛ばされシュイは一回転して後方に着地した。


「Gyaaaaaaaaooooooooooooooooooooooooーーーーーーー!」


 聖魔は叫ぶと同時に空間から、さっきみたいにガラスが割れるように音が複数してして人間の大人ぐらいの大きさの赤い目の斧を持ったミノタウロスが現れた。



「え?」


 呆然とテイジの頭を押さえて向かい側の聖魔を見ていた。


 ミノタウロスは軽々とジャンプをして飛び上がり、


「・・あ」

「テイジーー!」


 反応が遅れてテイジは動けず上を見上げて、ミノタウロスの斧が勢いよく振り下ろして、シュイが叫んだ。


 ガシ!


 その斧を片手で受け取り、


「おい、小僧!」

「え?」

「貴様は死ぬ気か?」


 年若い黒い長髪の黒いコートと黒ずくめの服を着た男性が鋭い視線でテイジを睨み付けた。


「なんで!」

「何故、お前がここにおるじゃ!?」


 青年の姿を見てユエとネメシスは驚きの顔でなった。


「貴様らに話す道理は無い」


 詰まらそうな顔で青年は言うと軽々と斧を投げ捨てたミノタウロスは数歩下がった。

 

「テイジに手を出した」

「ーーー!」


 一瞬でミノタウロスの背後で、シュイは青い大鎌を振りミノタウロスの背中を切りつけ、その切り口から徐々に凍りつき驚くこともなく、身体全体がミノタウロスは氷の彫刻のよう固まった。


「死ね」


 殺意をもらし静かにシュイは告げると、ミノタウロスの氷の彫刻は粉々に粉砕して、周りのミノタウロス達は怯えた。


 飛んでた筈の金髪の女性は降りてきてミノタウロスに近づき、


「私[わたくし]の可愛い子に手を出すとは、何とも許しがたい罪ですわ!」

「!?」


 片手に握り拳を作りミノタウロスに腹パンを食らわせ、勢い良くミノタウロスはふっ飛ばされ、周りのミノタウロスも偶々の位置で一列になってい為に全員が巻き込まれる形になり、岩山から転落して下の深そうな川の中に落ちていた。


「犯した罪の重さをあの世で悔やみなさいな。後は貴女に任せます。」

「うん」


 上から女性は冷たい目で見下ろして、大鎌を腕輪に戻して岩山から飛び降りシュイは川の上に静かに着地して、立っている足元から川が徐々に凍り付き、川の中にいるため、叫ぶことが出来ずミノタウロス達は凍り付き、また粉々に粉砕し全滅した。


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