第11話

 ベクトル王子にアグニシュー軍が本陣の撤退を確認して、城壁に千の兵を残してベクトル王子は城に向かった。


 工作部隊と合流の為シオンはミスディヌに森の中にテレポートして森を歩いて居た。


「シオン閣下、何故下の道を通らず森を?」

「本陣の撤退を見て本国に帰還するわ。だから森を通のよ」

「なるほど」


 しばらくして下の方に多くの馬の泣き声が聞こえた。


「今日は月が………」


 少し驚きの顔でシオンは岩山の月を見て言葉が詰まらせた。


[この気配は・・]


 ミスディヌはシオンの初めて見る顔に不思議な顔になった。


「シオン閣下?」

「ミスディヌは先に工作部隊と合流に向かって、私は少しやることが出来たわ」

「はい」


 岩場に向かうシオンの背中を見て返事をした。


※ ※ ※


 テイジの背中を押してカトレアは洞窟の外に出て、岩地から月が真上に観える最高のスッポトライトだ。


「あ、報告を忘れた!ボクは姉様の所に戻るから?」


 カトレアは洞窟に戻って行くのを確認して、テイジは目を閉じて、


「今日はいい月だね…あなたもそう思わないシオンさん?」

「私に気づいてたの?」

「そんな気がしただけかな」


 下の森の方を見て、木の後ろからシオンが現れ、テイジはにっこりした。


「テイジはあの屋敷の地下室の時は無事だったの?」


 暗そうな顔でシオンは子供を見た。


「少し長くいただけだから、その後に危機感があって邪神を召喚して・・・」

「ごめんなさい」


 微笑んでテイジはシオンは膝をついて謝った。

 惚けた顔で子供はシオンの頭を撫でた。


「もう気にしないで、それに盗み聞きとはあまりいい趣味とは言えないよ。魔夜…居るんでしょう?」

「さすが、愛しき主様」


 シオンの影を見てテイジに言い当て言られ影から魔夜は現れた。


「聞きたことは謝罪します」


 直ぐに謝罪して、魔夜をジロジロ見てシオンの雰囲気が変わった。


「テイジは私の花嫁にするから大国に来てさい!」

「え?」

「なるほど!愛しき主様を花嫁ですか!」

「その発想は私も思いつきませんでした♪」


真剣な表情でシオンの発言にテイジはなんとも言えない顔になり、感心した口調で魔夜はシオンと共感が出来る気がした。


 ふっとテイジは、


「まさか……軍に入れとは言わないよね?」

「入らなくて良いから来なさい」


 気になって訪ねてシオンは首を振った。


「うーん、サマエルさんの召喚の対価で300年は魔界にないと……」

「召喚の対価?」

「初めて聞きますが?」


 顎に手をあててテイジは考え込む姿勢で言って、シオンと魔夜は不思議な顔になった。


「実は・・・」

「そんな対価は無いわよ」

「そんなの悪質な監禁罪よ!」

「あの邪女神は愛しき主様にとんでもない何ウソついて・・・許すまじ・・」


 あの地下室でサマエルを召喚し対価の事も全て話して、魔夜とシオンは眉をピクピクと怒り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る