第6話
12:29分の
ヒガフナは北口側に交番がある。制服姿を警察官に見られるのはマズいので、人目を憚りつつ南口から駅に入った。駅員には見られてしまうが、仕方ない。幸い呼び止められはしなかった。
平日の昼下がり。ホームは思ったよりも人が多い。サラリーマン、老人はともかく、高校生までいるのには驚いた。高校ってそんなに早く終わるんだろうか。
相変わらず空は晴れており、ピークを迎えた太陽はその光と熱を
屋上から見た時は清々しかった青空。でも今は何だか、のしかかられているような重苦しさを感じる。教師は自分たちが校内にいないことに、もう気づいただろうか。財布を持っていなかったので、切符はまっくんにおごってもらった。少額だが岡お金を持ち歩いているのだという。140円。手汗で湿っている。この汗は、日差しのせいだけではない。
「電車、来るね」
スピーカーから簡素なチャイムのあと、電車が到着することを告げるアナウンス。座っていた人も立ち上がり、ホームの端に並びだした。
「どこまで行く?」
まっくんは
「隣の駅まで…が、限界じゃない? 帰りもあるしさ。」
まっくんは一瞬考えるような表情を見せたあと「仕方ないね」と言った。行けるところまで行こう、と言えばよかっただろうか。
大きな音をたてて電車がホームに入る。鈍色のボディに一本オレンジのラインが走る
どうせ一駅だし、立っていた方がいいだろう。そう思って優先席の前の黄色の吊革につかまる。まっくんも隣に並んだ。扉が閉まり、電車が動き出す。
「よーし、出発」
まっくんが楽しそうに言うのに、黙ってうなずき返す。思わず、学校の方へと目線が動いた。
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