第4話
『こんにちは、みんなのお昼に癒しのひとときを、湊高ラジオの時間、今日は
『新入生の諸君。学校生活には馴染めそうかな』
『湊高ラジオは毎日お昼休みにみんなから放送室前の投書箱に寄せられたお便りやリクエストにお答えするよ』
『何か不安や悩みがある新入生の諸君はジャンジャン投書してね。もちろん上級生も』
『それでは、早速お便りを読んでいくよ』
『ラジオネームビビットさんからのお便りです』
『友達と喧嘩してしまいました。理由は私が世話を焼きすぎるからだそうです。私は良かれと思ってやっているんですが、偽善だと言われてしまいました。私はそこで何も言えなくなってしまいました。私はどうしたらいいでしょうか』
『うーん、そうだな。まず話合うべきなんじゃないかな。どうしてそうなったか詳しくはわからないけど、僕はビビットさんがしたことは偽善だとは思わないよ。だってその友達のことを思ってやったことなんだよね?そこはいいと思うよ。でも、友達はそれを偽善だと思ってしまっているのなら、友達として止めて欲しいことがあるんだよ。人それぞれ思うことは違うからね。だから、答えとしてはビビットさんの気持ちと友達の気持ちをぶつける。友達だからこそぶつからないと。そうしないと解決しないと思うよ』
ラジオはどんどん進んでいく。深閑とした空間に凛とした秀麗な声が響き渡る。僕はその声に聞き惚れてしまっていて、あっという間に時間が過ぎていく。鏡越しに見える七色先輩の姿はやはりいつもとは別人のように錯覚してしまう。それほど世界観が作られているのだ。
そうこうしているうちにラジオの終盤に差し掛かっていた。
『時間的にこれが最後かな』
『えーラジオネームシアンさんからリクエスト』
『キュンとする一言を言ってください、とのこと』
『うーん、そうだな。よし決めた』
一瞬七色先輩と目が合ったような気がした。
『では、行くよ、聞き逃さないでね。3,2,1』
『君といると退屈しないんだ。だから絶対に君のこと一生逃がさないからね』
微かだが黄色い歓声が聞こえてくる
『では、今日はここまで、湊高ラジオの時間でした。またね。明日の担当は
七色先輩は満面の笑みで放送ブースからでてきた。本当にこの人から逃げられる気がしない。僕は七色先輩の声に恋をしてしまっているようだ。ただ、それが本当の恋なのかわからない。今はただただ、声に惚れてしまっているのだから。だから僕は誰に恋をしているのかわからない。この想いは誰にも言えない僕だけの恋。
放送部員は2人しかいません 瑛 @EI-aki-
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