第3話

ピエロが人気のない森の小屋に着くと同時に少女は目を覚ました。

少女はあたりをきょろきょろと見渡すと、先程との状況にギャップを感じている。

しかしながら、ピエロが助けてくれたことは理解したようだ。


「え!…ありがとう。あなたは?」


「僕はロイヤル。爽快なピエロとでも思っていてくれ。そして君はアイスちゃん。合ってるね?」


「あ…うん。でも、どうして私の名前を?」


ロイヤルは依然として周りとは逸脱した雰囲気をまとっている。

よく見ると、その顔立ちは精悍で、特に横顔から見える際立つエラがとても美しい。

もしその素っ頓狂な化粧を落としたならば国で話題になるほどの絶世の美男子だと伺える。

カラフルな衣装は他を寄せ付けず、所々丸みを帯びている。

胸元には二つの懐中時計を提げていた。

その中の一つは静かに輝いていて、もう一つは鈍い色をしていた。

アイスと呼ばれた少女は自分の質問を忘れるくらいロイヤルに見惚れてしまった。


「ところでアイスちゃんは、何がしたい?」


「え、えと、お姉ちゃんに会いたい!」


「そうか。今まで、どうやってここまで来たんだ?」


アイスは今までの事の顛末(てんまつ)を身振り手振り、その体いっぱいに話した。

その話はあまりにも不可思議であったが、ロイヤルは落ち着いた様子で聞いていた。


「うん。大変だったね。…よし。じゃあ、お姉さんに会う前に、あの兵士たちを一旦追い払おうか。」

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