第2話
「うわ~!ごめんなさい!」
一人の幼い少女が、大人数の兵士に追われている。
その少女は、青いドレスに白いエプロンをまとった格好をしている。
まだ成長しきってない体躯に、目が大きな幼子らしい顔であった。
スカートの両端を摘みながら大股で疾走している。
その兵士は四角い直方体のような鎧をまとい、自分の身の丈の二倍はあるであろう鉄槍を携えている。
逃げ続ける少女は波打ち際の崖に追い詰められ、絶体絶命となった。
その時、一人のピエロがどこからかやってきて、少女をお姫様抱っこをして海原の上をふわふわと浮かんだ。
「どうしたんだ!君たち!こんないたいけな少女一人追っかけて!」
ピエロがその手に抱えた少女に目をやると、少女は気絶しているのが見てとれる。
少女は首からのけぞり、髪が地球の中心に引っ張られている。
「その女は我々に不躾な態度を取ったのだ!万死に値する!」
兵士の内の一人は毅然とした態度で答える。
その風体から、その隊の長であることが見て取れる。
ピエロはそれを聞くと、心底呆れた様子で、兵士たちを見下ろした。
「はぁ…君たち、仕事があるんじゃないの?はいはい戻った戻った。」
ピエロは未だ解せない態度を取りながら、ブワっと音を立てて飛び去った。
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