第20話 宴の準備
[南郭濫吹]
時は少し戻りリオンがマリー達と夕食を楽しんでいた時、ルークスルドルフ王国の王都サリバンのとある豪邸の盗聴対策用の魔法が張ってある一室にて、2人の男が密談を行い今後の計画について画策していた。
「野盗を嗾け葬る作戦は失敗に終わった様だな」
「は、はい!密偵の話によるとあと一歩の所で冒険者らしき男が介入し野盗を全滅させたとの報告を受けました……」
豪奢な服を身に付けた、だらしない体をした男に睨まれた対面に座る身なりは平民よりは多少立派な服飾を身に付けた細身の男が恐縮しながら結果を伝える。
「それで?お前には次の案はあるのか?」
「は、はい、それは勿論でございます!彼奴は2週間程は王都に滞在するとの情報がございまして、5日後には件の冒険者を招待し宴を催す予定となっております。我々はそのタイミングで襲撃を計画しております」
計画に疑問を持ったのか訝し気に問い掛ける。
「野盗共を始末した冒険者がいるそのタイミングで襲撃を行うだと?大丈夫なのか?その冒険者の素性はハッキリしているのか?」
「勿論でございます!名前は[リオン]、アイアン級冒険者で特に目立った活躍はございません。密偵からの情報から鑑みますと、野盗共を倒したのはその前まで戦っていた護衛により疲弊していたのと、不意打ちによるものと判断しましたのでその冒険者は特に問題はございません。どうぞご安心下さい。そしてそのタイミングでの襲撃の内容と利点につきましてはーーーーー」
その後暫く2人の間で襲撃内容を煮詰めていく。
「グハハハハ、では、結果報告を楽しみにしているぞ!言うまでもないが、2度の失敗は無いと思え。フフフ、これで漸くあの亜人撲滅反対派筆頭のゴミを始末出来る訳だな。フンッ!ハエの様に周囲をブンブンと飛び回りおって、目障りな奴だ」
実際目の前を飛んでいるコバエを手で振り払いながら、そのコバエを襲撃対象に重ね悪態をつく太っちょの男。
「承知致しました。彼奴が消えれば後の反対派の連中など圧力を掛け潰せる惰弱者共でございますからなぁ。今回の襲撃が成功した暁には計画も最終段階に移行できますね」
そうして邪魔者を消した後の計画なども酒杯を傾けながら陽気に話す2人の話を聞く人間は誰もいなく、複眼から鈍い光を放つコバエが2人を視界に捉えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヒャッハーのイヴ誘拐騒動から一夜明け、現在魔法国家リンドブルム郊外の森にて鍛錬を行なっている……のだが。
「り、りおん、死ぬ、もう死んじゃいます、このままだと、わたし、死んじゃいますぅぅぅ……」
ボロ雑巾かと見紛う程くちゃくちゃになったイヴからの必死の訴えが漸く元凶に届き周囲に響いていた轟音が止まる。
「あん?何か言ったか?早く立てよ、まだ今日の予定の半分も消化してねぇぞ?そんなんじゃまた誘拐されるぞ、立ち上がれ貧乳戦士イヴ!」
「ぐぬぬぅぅ……変な、渾名で呼ばないで、下さい!も、もう!す、少し、休憩、し、しましょ?もう、無理、あふぅ……」
気力で立ち上がり反論したものの休憩を懇願した時点で満足して気が緩んだのかそのまま意識を手放した。
リオンがうつ伏せのイヴを前脚でヒョイとひっくり返し顔を覗き込み観察すると、ハァとため息を溢す。
「やれやれ、宝の持ち腐れか……やっぱ先天的ではなく後天的なものかな。それとも単純にイヴに才能が無いだけか?コレは人間基準なら強い部類に入るのか?ふむ……昨日は人間を殺す事に苦手意識も持ってたらしいし、課題は山積みだな」
イヴを抱え近場に設置してある土魔法で作ったキャンプに連れ帰った。
リオンは意識が回復するまで暇潰しにロンと怪獣大戦の如き激戦を繰り広げ、自主練をする事数時間、漸くイヴが目を覚ます。
先日暴れた際の騒動から学び結界に隠蔽防音などを駆使して被害を最小限に出来た。
「ん?起きたか。とりあえず爺が回復薬作ったらしいから飲んどけ」
キマイラ姿で器用に前脚を駆使して紫色をしたドロドロのヤバそうな液体が入った瓶を摘みイヴに渡すと本気で嫌そうに顔を顰める。
「お爺ちゃんの薬って、また失敗作ですか……?前回なんて回復薬とか言ってたのにお腹痛くなって大変だったんですからね!先にリオンが飲んで下さい!ほらほら私が飲ませてあげます!」
気絶からの復帰にしては元気なイヴは怪しい液体を強引にリオンの口に捻じ込む。
「飲み難いわ!ちょっと待て、ふむ、匂いは……普通だな」
キマイラ状態では瓶ごと丸飲みしてしまうので人化をしてから改めてスンスンと匂いから確認してから一口飲む。
数分観察してみるが一向に体力、魔力は回復しない。
とりあえず鑑定してみると、
[回復薬(アンデッド用):生者が服用すると、猛毒、麻痺、混乱、睡眠、魅了、呪詛、筋力低下、魔力枯渇]
「毒じゃねえか!」
地面に叩きつけ、毒物を割るとジト目のイヴが凝視してくるがいつも通り華麗に無視する。
「ふぅ……それじゃ、休憩もしたし鍛錬再開するぞ」
ぶーぶーと文句を垂れるが全て切り捨て、陽が沈むまでノンストップで続いた。
再びボロ雑巾になり最早歩く気力も使い果たしたイヴをリオンが抱えながらギルドに帰還するとマリーが驚愕の表情を浮かべながら走ってくる。
「大丈夫イヴさん⁉︎リオンさん、何したんですか⁉︎」
リオンに詰め寄り肩を掴みガシガシと揺らす。
「少しは落ち着け。修行疲れでただ気絶してるだけで、そのうち起きるだろ」
喧しいマリーにデコピンを放ち「ふぎゃ!」と悲鳴を漏らすと涙目で睨んでくるが安定のスルーでテーブルに座ると額を押さえた涙目のマリーが当たり前の様に対面に座る。
ジト目をするリオンにマリーは首を傾げる。
「オイ、仕事はどうした?堂々とサボるなんてマリーは意外と悪い子だったんだな」
「今日はもう上がりなんでサボりじゃありません!」
「ん?そうなのか。だが……まぁいいか。それより飯は済ませたのか?まだなら一緒に食べて行けよ」
「ありがとうございます。折角のお誘いなのでご一緒しますね」
既にご機嫌なマリーに首を傾げながらも突っ込まずに料理などを注文していき、直ぐに運ばれてきたのでオピス、ルプを含めて4人での食事が始まる。
暫くすると匂いに誘われてか気絶していたイヴが目を覚まし余程空腹だったのかガツガツと料理を食べ始める。
「全く、リオンは容赦が、もぐもぐ、無いんですから!もぐ、少しは、もぐもぐ、手加減ってものを、もぐもぐ、覚えてくださいよ!」
食べながら文句を言い続けるイヴをリオンが叱る。
「食いながら話すんじゃねえ、だらしねえ女だな。それにアレでもだいぶと手加減してんだ。今日だって目標の2/3しかクリアしてねえんだからな。弱いままなら王都は留守番だ、いいな?」
色々言われショックを受けたイヴが、「ぐぬぅ」と唸っていると正面のマリーから慌てた声が入る。
「えっ⁉︎リオンさん、王都に行っちゃうんですか⁉︎もうすぐ魔法学院の入学式だと思うんですけど……?」
「あぁ、まだ話して無かったっけ。王都に居る侯爵から招待状を貰ったからパーティーに参加してくる。まあ5日後だからそんな急いで行く必要もねえし入学式までには戻ってくる予定だ」
「えぇ……?い、いつの間に他国の貴族、しかも侯爵様と縁なんて作っていたんですか?というか5日後だと今から出発しても最短で1ヶ月は掛かって間に合わないと思うんですけど……」
「まあそこら辺は色々とあんだよ。それと直進すりゃそこまで時間は掛からねえから問題ねえよ。それより、盗み聞きは感心しねえが、なんか用か?」
マリーは驚きながら振り向くと、そこには副ギルドマスターのサーシャが不機嫌な顔で突っ立っておりそのまま不機嫌顔でマリーの横に座った。
「はぁ……リオン君、人聞きの悪い事は言わないで下さい。君達の会話が一区切りつくまで待っていただけです」
ツーンとそっぽ向いて弁明するサーシャに面倒そうにリオンが手をぷらぷら振る。
「まあそういう事にしといてやるよ。それで早速要件を聞こうじゃねえか。ただ寂しくて食事の輪に入りたかったとかじゃねえんだろ?」
ジト目のサーシャは不満顔ながらも懐から2枚のカードをリオンの前に置いた。
「今までの功績と昨日の功績を合わせてリオン君の等級をアイアン級からゴールド級に昇級します。これは新しい冒険者カードです。ちなみにもう1枚はイヴさんの分でブロンズ級に昇級です、おめでとうございます」
「へぇ〜随分簡単に上がるんだな。まあくれるっつうなら貰うけど、確かゴールド以上は緊急時にはその街の召集に応じる義務が発生するんだったか。サーシャも気苦労が多くて大変そうだな。今ので今日の仕事が終わったんなら一緒に飯でも食っていくか?」
「……折角のお誘いですが、まだ仕事が残っていますので残念ですがまたの機会にお願いします」
伝える事を伝えるとさっさとサーシャは去っていく。
その後はイヴが新しい冒険者カードを見ながらはしゃいだり、マリーに王都の土産を頼まれたりとワイワイと騒ぎ解散したのは数時間後だった。
マリーを宿に送り届けリオン達も宿に戻ると速攻で人化を解き寛ぎながら今後の事を話し合う。
「とりあえず5日後までに侯爵ん所に行くのは確定でイヴはそれまでにある程度は強くなってもらわねえとなぁ。いつまでもお守りをする気はねえからな」
リオンの前脚にちょこんと座るイヴに話し掛ける。
「わ、わかってますよ!でもでも、侯爵様の所に行くだけならそこまで鍛えなくても良いと思うんですよね」
ド正論を言われたリオンが、はぁ……とため息を吐き器用にイヴの頬を前脚で摘む。
「バカかお前、王都はそもそも亜人絶対殺すマンがウジャウジャ湧いてる地域だぞ。それに……ククク、俺が面白いイベントを見逃す筈がねえだろ。それが態々赴く場所で発生する事なら尚更な」
むーむーと唸りながら挟んでいる前脚を何とか退かしジト目で抗議の視線を送ってくるがリオンはどこ吹く風だ。
「確かに見た目だけなら私以外は皆さん、人族ですからね……。実際は伝説級の魔物なのに……理不尽です。はぁ……でも私の存在が迷惑掛けるのは分かりきっているので強くなるのは当然の事と認識してます!してますが、もっと優しくしてくれてもいいと思うんです!あのままのペースだとそのうち本当に死んじゃいますよ!しかもその様子だと王都でも波乱が待ってるんですね?正直、留守番でも良い気がしてきましたね」
不適な笑みを浮かべるリオンを見て鳥肌が全身に回り、ぶるッと震える。
「何言ってんだよ、人生は理不尽なものだ。弱い奴が泣いても叫んでも祈っても、結局はより強い者に搾取され、蹂躙されるもんだ。弱者は隠れ潜むか他者に依存、寄生しない限りまともに生きていけないだろうよ。だからこそ人は己を高めたり他者を観察したりと、より賢く生きる事でより幸福になれるんだろうが」
「むむぅ……じゃあ、賢い人が悪い人だったらどうするんですか?」
「ふむ、別に今善悪の話はしてねえが……ではイヴが言う悪い人ってのは何だ?殺人をする奴か?窃盗?強盗?強姦?放火?何をもって悪と断じる?前者の共通点は複数あれど、強いて一点あげるなら総じて他者の徳を害する行為という事だ。その考えであれば俺は悪の部類に入るだろうな。賢いかは置いておくとしても悪い者が目の前に居る訳だが、イヴはどうする?」
頭から煙を上げる勢いでグワングワンと頭を振り考え込むイヴはガバッと顔を上げリオンの顔に抱き着く。
「リオンは人族じゃないので悪じゃないです!なので関係無いです!私がずっと側に居て、ずっと一緒に暮して行くんです!」
「クハハハ、話は逸れたがその通りだ。悪とか何か、善とは何か、答えは[同じ]だ。言葉遊びの如き稚拙な用語に過ぎない。言葉が違うだけで意味は殆ど違いなど無い。そもそも言語とは人が作った物なのだから善人、悪人関係無く自分達に都合の良い、擁護や逃避する言葉も次々に生まれるだろう。自分や誰かにとって不利益であれば悪、その逆であれば善。それは常に表裏一体という事、人それぞれがどう感じるかで直ぐに裏返る適当なもんだ。だが例えば王国とかは絶対王政っぽいし権力者の一声で黒も白に、白も黒に簡単になりそうだな。つまり最初のイヴの質問の俺の回答はどう対処するかは各々が勝手に決めりゃいい、だな」
前世の法治国家じゃねえしなと独り言ちた。
抱き着いていた身体を離し、リオンをジーっと見つめながらイヴは首を傾げる。
「前々から思ってたんですけど、リオンはそんな事をどこで知るんですか?世間一般の魔物はそもそも意思疎通が取れないので分かりませんが、リオンは伝説級の魔物なのでその枠組みに捉われないんでしょうけど……もしかしてガイア様が仰っていた『チキュウ』というのが関係しているんですか?」
まあこれだけ話せばそりゃ馬鹿でも疑問に思うかと考えながらどうしたもんかと悩んだが、確証がまだ無いので誤魔化す事にする。
「それはな、俺の趣味が人間観察だからだな。イヴと出会う前から人間の街を沢山観察してたんだよ」
前世でも殺す対象の行動範囲などの情報収集の為、観察していたので完全な嘘では無いのでドヤ顔で語ってやったら簡単に信じた。
チョロいなこの娘、将来が心配になるレベルだ。
「まあ話がだいぶ逸れたが、この世は理不尽に溢れ命の価値も軽い。それ等に対処する為にはある程度の力が必要になる訳だ。要約すると明日からの鍛錬も通常通りにやるからそのつもりで今日は早めに寝ろって事だな」
「うえぇぇ……。うぅ……分かりました……おやすみなさい、リオン」
嫌々オーラを全身に纏いながらも渋々リオンの前脚を自分の良いポジションに設置してものの数秒でスヤスヤと寝息が聞こえる。
「の○太並みに即寝だな。相当疲れてたんだなぁ、まあ鍛錬は軽くしねえけどな」
暫くイヴの寝顔を見ていると横からニュッと顔が出てきた。
「ねぇリオン、本当にイヴちゃんをこのまま鍛えるの?わたしが気付くくらいなんだからリオンは当然気付いてるでしょ?……リオンが死んだらわたしは……コイツを殺すよ?」
普段の間延びした雰囲気は無く、悲壮感を抑え淡々と話す事を心掛けているが上手くいってない。
「俺の方針は変わらねえし、勿論気付いてる。あと少しだ、あと少しで面白い事が起きる気がするんだよなぁ。何かトリガーになる切っ掛けが起こりゃいいが、それが何かは分かんねえんだよなぁ。まあそれで俺が死んだら好きにすりゃいいが、ここまで付き合ってくるとペットくらいの感情は沸くもんだ。だから俺は死ぬ気はねえし、その対策も考えてるから安心しろよ。オピスも同じ見解か?」
顔を尻尾の方に向けると爬虫類顔で感情は読み難いが困惑顔っぽい表情をしている。
「わたしは〜ルプの感情にちょっと引っ張られてるだけだからイヴちゃんに対して思う所は無いかなぁ。どうせわたしが何か言ってもリオンは先立って対策しちゃってるからね〜。あっ、死んじゃったら食べてもいいよね?」
「やっぱ嫉妬が影響してるだけか、まあオピスの発言の答えでもあるが俺が死んだら好きにしたらいい。なんとなくの勘だが俺が封印つうか楔になってるっぽくてな、俺が死んだらお前等は解放されるっぽい、たぶん、恐らく、違ったらドンマイだな。それが共に消滅するな」
クハハハと笑いながら語る獅子に、ため息を吐き呆れる蛇と狼。
話が盛り上がり、日が昇りイヴが起床するまで話し声は続いた。
その後出発予定の1日前までみっちりと修行を行い、密度の濃い実践経験を果たした。
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[リオン]種族名:アビスキマイラ[新種]
[Lv.74]
[剣術Lv.8]
[短剣術Lv.8]
[槍術Lv.6]
[斧術Lv.6]
[棍術Lv.6]
[拳術Lv.8]
[弓術Lv.10]
[投擲Lv.9]
[威嚇Lv.9]
[威圧Lv.9]
[状態異常無効]
[気配察知Lv.MAX]
[精神分裂]
[念話]
[思考加速Lv.6]
[鑑定Lv.8]
[魔力操作LvMAX]
[魔力制御LvMAX]
[火魔法Lv.7]
[水魔法Lv.6]
[風魔法Lv.7]
[闇魔法LvMAX]
[光魔法Lv.8]
[土魔法Lv.3]
[身体超越化Lv.8]
[剛腕Lv.8]
[堅牢Lv.7]
[自己再生Lv.8]
[擬態]
[人化の術Lv.9]
[咆哮Lv.1]
[裁縫Lv.2]
[料理Lv.4]
[建築Lv.2]
[曲芸Lv.2]
部位獲得能力
[ラグネリアデーモン Lv.74][新種]色欲
[ガストリアヴァイパーLv.74][新種]暴食
[エンヴィディアルウルフLv.74][新種]嫉妬
[アプレグリーディアリッチLv.68][新種]強欲
[スローテディアスライムLv.65][新種]怠惰
[オルゲイラドラゴンLv.67][新種]憤怒
称号
[人類の天敵]
[殺戮者]
[強奪者]
[インセクトキラー]
[スライムキラー]
[森の覇者]
[同族喰ライ]
[大厄災]
[大罪喰い]
[金城鉄壁]
[神喰ライ-分体-]
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[イヴ]種族名:魔人族
[Lv.25]ジョブ:なし
[土魔法Lv.5]
[火魔法Lv.2]
[水魔法Lv.2]
[闇魔法Lv.1]
[身体強化Lv.5]
[剣術Lv.2]
[拳術Lv.1]
[???]→■■■■の卵。
■の■■。■■の■■。
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気になるのはイヴのスキル、文字化けして読めない……
まぁそのうち分かるが、嫌な予感がするな。
それと俺の称号も増えてたなぁ。
[神喰ライ-分体-]→■■■■■■■■■■。内緒だよ。
あのクソ女神、やっぱりスキルにも干渉出来んのかよ。
積極的に俺を排除しねえのは地球と同じく直接干渉し難いって事か。
この称号取らせる事自体アイツの作戦だったのかもな。
……まあそれは追々考える事にしよう。
今日は王都に出発する日だからな。
と言ってもひとっ飛びだがら直ぐ着くんだけどな。
早速寝ているイヴを起こし朝餉を済ますと、直ぐに街の外に出て人化を解き王都に飛び立つ。
道中も特に問題無く空飛ぶ旅行を楽しみ、デカいトカゲや鳥、それらが合体したトカゲ鳥などをご飯用に確保しながら昼頃には王都近辺に降り立ち人化し、のちに王都に入る。
いつも通り、オピスとルプを両手に持ち、その横には深めのローブを被って見るからに怪しい少女、イヴが居た。
その風貌を訝しむ門兵はリオンがゴールド級の冒険者と分かるとイヴの姿をチラチラ見ながらもすんなり入る事が出来た。
そのままとりあえず宿を確保する為に以前来た際に泊まった場所に向かうと、その道中で声を掛けられた。
リオンが振り返ると侯爵の所の執事、サイラスと目が合い会釈されたので仕方なく近寄り声を掛ける。
「なんか用か?約束の日は明日だったと思うが?」
「えぇ、私どもがご招待した日程は明日で間違いございません。失礼ながらリオン様は今から宿をお取りになるつもりではございませんか?もしよろしければ私どもの主人の家にてお部屋をご用意致しますが如何でしょうか?」
宿代は節約出来るが最悪人化が解けなくなるデメリットが発生するので悩んでいたがリオン以外は全員目を輝かせて行く気満々だったので悩むのも止めた。
「では、お言葉に甘えるとするか〜。直ぐに出発するのか?」
「承知致しました。そうですね、既に準備は整っておりますのでいつでも発てますが、何かご用事があれば此方でお待ちしております」
「いや、特に無いからさっさと出発しよう」
畏まりましたとサイラスがお辞儀をして近くに置いてある馬車まで案内され早々に出発した。
ガラガラと揺られる事数十分、御者席のサイラスから間もなく着くと言われてから数分後馬車が停止しドアが開いたので降りる。
目の前には立派な貴族の豪邸が聳え立っていた。
しかしリオンが思い描いていた貴族邸とは少し違い、権力を象徴するかの様な自らを模した銅像などの彫像品は特に無く庭師が丁寧に剪定したであろう芝生や木々などの造園が広がる。
中心部には噴水が置かれ噴き上がった水がキラキラと日差しを浴び、輝いている。
リオン一行はサイラスに案内され庭を通り、そのまま邸宅まで足を伸ばすがその際ずっとイヴだけはキョロキョロと周囲を忙しなく見ていた。
暫く歩くと両サイドに使用人が整列しており、中央には見知った3人の人間が居た。
一糸乱れぬ所作で「いらっしゃいませ」と挨拶を頂き、その間を歩き使用人達の主人の元まで辿り着く。
「旦那様、冒険者のリオン様、オピス様、ルプ様、及びイヴ様をご案内致しました」
その言に主人、エドガー・フュルスト・フォン・アイゼンヴァルトが重々しく頷くと執事のサイラスは使用人の列に加わる。
「よく来たねリオン君、それにオピス君にルプ君も久しぶりだね。そちらの、イヴさんは初めましてだから私から自己紹介をしよう。私はエドガー・フュルスト・フォン・アイゼンヴァルト、これでも侯爵をやらせてもらっているよ。そしてこちらが私の妻のアレクシアと娘のソフィーだよ」
「リオンさん、オピスちゃん、ルプちゃん、また会えて嬉しいわ。イヴちゃんとは後程ゆっくりとお話ししたいわね」
「よ、ようこそいらっちゃ、あっ、噛んじゃった!うぅ……い、いらっしゃいました。ソフィーと申します」
3人の挨拶が済むとリオンがイヴを前に出すと顎をしゃくる。
「ほ、本日は、きゃッ!な、何するんですかリオン!」
急にフードを剥ぎ取り驚いたイヴが抗議する。
「初対面の人間に挨拶する時は面を見せろ。非常識な行動だぞ?」
この言葉にイヴは呆気に取られて呆けてしまう。
「え、えっ?た、確かに、リオンの言う通りで、す、ねぇ。えっ?なんか納得いかない!リオンが非常識を語ります?言っときますけどリオンより私の方が常識的ですからね!」
混乱から回復したイヴが地団駄を踏みながらリオンに突っ掛かるが、当人は無視を決め込み聞いてすらいない。
更に追撃しようとすると、背後から笑い声が聞こえてバッと振り返ると3人ともクスクスと口許を隠し笑っていたので羞恥心でイヴの顔が朱に染まる。
「いやはや、面白い方達で私達も緊張が適度に解れたよ、ありがとう。しかしながらこのまま立ち話もなんだ、早速部屋に案内させよう。後程ゆっくりとお話しでもしよう」
侯爵夫妻が先導し後続は複雑な表情で俯くイヴの首根っこを掴み運ぶリオン、そしてオピス、ルプと手を繋ぎキャッキャしているソフィーである。
各々滞在する部屋に案内された後、改めて雑談が出来る部屋に集合した。
ロの字に4人掛けソファが置いてあり中央に美しい意匠が施された見事な木のテーブルが鎮座しており、12時の位置に夫妻が、3時の位置にはソフィー、オピス、ルプが、6時の位置にリオンとイヴが座っている。
貴族だと上座ルールなども前世と違うのなぁと考えていると侯爵が口を開く。
「それにしてもイヴさんが魔人族だったとは驚きですね。いや〜お会い出来て光栄ですよ」
それに対して首を傾げながらリオンが問う。
「やっぱ魔人族ってのは珍しいもんなのか?今までイヴを除いたら2人としか会った事ねえから、まぁそうなんじゃねえかと思ってたけどなぁ」
「そうですね。確かに魔人族は珍しい種族と言われております。今では複数存在する亜人種の中で一番個体数が少ないとも言われてますね」
その後の理由を言い淀んだのでまともな扱いは受けてないのだろうと推察されるが、それだとひとつの疑問も浮かぶ。
「個体数が少ないってんなら人族なら珍種って事でアホみたいに食い付いて乱獲しそうなもんだが、蓋を開けてみると皆殺しが基本みたいなんだが?」
リオンの質問にエドガーはイヴをチラリと見るとすんなりと頷くので、不愉快な話ですが、と前置きすると語り出す。
そのタイミングで侯爵夫人がソフィーとルプ、オピスを別室に移動させる。
「魔人族、中には人に有らずとして魔族とも言われているんですけど、彼等は他の人種と違い、大罪の種族とも言われておりまして、俗に言う七大罪とは関係無く単純に罪を背負った種族だと言う事です。英雄譚として伝わっているもので真偽の程は不明ですが、約2500年前、勇者と呼ばれる存在が居たらしいのですが、その人物は魔人族だと伝えられています。そしてその当時、世界では天災の如き破壊を撒き散らし人類の脅威と位置付けられていたキマイラという魔物が猛威を振るっていたんですが……詳細の姿形は何故か伝わっておらずこれに関しても魔人族が関与して隠蔽したのではないかと言われています。そしてそのキマイラを討伐すべく国の命を受けた勇者が立ち向かいました。戦闘は激化の一途を辿り、地形が変わり複数の島々は海底に沈んだとされており、戦闘は凡そ5年にも及んだとか。しかしながら決着はアッサリと終結しました。最終決戦はひとりで挑んだ勇者とキマイラが次元の狭間に飲み込まれ消え去るというものでした。その原因については現在でもよく分かっておりません」
話がひと段落してエドガーが紅茶を飲みひと息付くがリオンの頭にはクエスチョンマークが浮かぶ。
「いや、今の話だと何故魔人族が大罪の種族なのかわからねえんだが?この先の話があるのか?」
「そう、ですね……あるにはありますが、この先の話は英雄譚程信憑性も無く実際はどうか分かりません。それを踏まえて話半分で聞いて頂きたいんですが、両者の最終決戦の直前の事です。この勇者とキマイラの間に子どもが生まれたとの事です。その間に何があったのか、事実なのか嘘なのか、それは今や知る機会などはありませんが、その事が原因で魔人族は魔物と唯一子を成す事が出来る種族と言われており、それが現代でも魔人族が迫害や忌避される所以です。しかし具体的な証拠となる話なども無く、魔人族を忌避する人族が流した噂だろうと言われてもいますね」
この話を聞き、イヴの異常性癖が2500年物の可能性が高まりドン引きしながらも、不確定情報の為一旦棚に放り投げ疑問を解消していく。
「だがゴブリンやオークなんかも人族を孕ませるんじゃねえか?」
「そうですね。ただ厳密に言うと違いますね。低級の魔物は魔素があれば増える事が出来るんですよ。つまり、捕まえた人族は苗床と言うより生まれてくる子どもの餌と言う事になりますね。ですが魔人族が魔物に捕まえられると魔人族と魔物の混血も産まれる可能性もあるんです。この混血というのが厄介で、中には知能や能力が純血とは比較にならない強力な個体が生まれる事もあり、度々村や街単位での被害が出るくらいなんですよ、なので……」
再びチラリとイヴを見ると、口を紡ぐ。
つまるところ、魔人族は強力な混血魔物を産む危険があるから殺した方が良いって事か。
と言うか昔のキマイラって確か俺だよな。
当時の記憶も無いが何してくれてんだろうね俺。
じゃあイヴは遠ーい親戚ってことか?
頭痛くなってくんなぁ、一旦忘れよう。
「なかなか面白い話が聞けた、ありがとうな」
素直に礼をするとエドガーは驚いた様子で話し出す。
「そ、それだけですか?ハ、ハハハ、豪胆というか、流石は冒険者という事なんですかね」
「まあそこら辺の人族じゃあるまいし、イヴがどんな存在であれ俺には関係ねえからな。それにしても侯爵も反亜人撲滅運動の筆頭だけあって魔人族にも嫌悪感を抱いた様子も無いな。まあ使用人にも亜人が数多く居たから当たり前か。だがこの王都で侯爵の考えだと先々苦労しそうだな」
イヴの頭を撫でながら話を振るとピクっとエドガーの眉が微かに動く。
「はい、そうですね。ですが、この考え方を間違っているとは思いませんので後悔はありませんよ」
リオンはエドガーの瞳を数秒覗き込み、満足気に頷く。
「クハハハ、あぁ、やっぱ面白いなお前。いいね、流石貴族というべきかな?とりあえずはお前の考えに乗ろう、どっちが上手か見ものだな。結果は変わらねえが過程を楽しむとしようか」
イヴとアレクシアは首を傾げクエスチョンマークが頭に浮かんでいるがエドガーは心当たりがあるのか冷や汗を浮かべ苦笑いを浮かべている。
「ハハハ、何の事だか私には分かりかねますが、明日の宴まではどうぞここを我が家だと思い過ごして下さい」
そのままこの場はお開きになり、リオンの部屋に戻るとイヴがベッドにダイブする。
「イヴはさっきの話は知ってたのか?結構有名な話なのか?」
「そうですねぇ、英雄譚は勿論知ってましたし、キマイラと勇者の混血児の話も魔人族の間では口伝でのみ知らされる内容でしたね。人族の方が知ってるのはビックリしました。侯爵様はああ言ってましたが、昔の勇者と過去のキマイラの間に子どもが居たのは私達魔人族の間では周知の事実なんですよ。……それにしてもリオンは侯爵様に対しても横柄な態度なんですね。マリーさんには最初丁寧な態度だったのに〜」
「何で魔物の俺が人間なんかに敬語で話さなきゃならねえんだよ。人間のルールは人間の内輪だけでやれよ、俺には関係ねえ。マリーに関しては女だからな、俺は紳士的な魔物なんでね」
何かジト目を向けてくるイヴに適当に応え少し考える。
(口伝なら真偽不明になってるのも理解出来る。それを信じる信じないは別にしても、な……。それにしても昔の勇者もどんな事情があったにせよ、面倒臭い問題を残していったもんだな。まあ相手は俺なんだけど……深く追求しても藪蛇になりそうだから、とりあえず棚上げだな)
心の中で方針、もとい問題の先送りを決めると外からノックの音が聞こえドアが開かれるとそこにはソフィーに連れられたオピスとルプが居た。
「ん?どうした?なんか用か?」
トタトタとリオンの前に来ると両膝にオピスとルプが座る。
「えぇっとね〜、ソフィーが冒険の話を聞きたいんだって〜。わたし達だと上手く話せなかったからリオンに頼みにきたの〜」
オピスからの説明を受けちらりとソフィーを見ると恥ずかしそうに顔を伏せている。
「まあ……それくらいなら構わねえが、俺もそこまで冒険をしてる訳じゃねえからなぁ。まあ時間も限られてるし丁度良いか」
ソフィーが顔を上げパァッと笑顔になると、オピスが背中に移動し張り付く。
空いた膝には少し躊躇しながらもソフィーがニコニコと嬉しそうに座る。えっ、なにこの状況……。
いつの間にかイヴが此方を向き嫉妬しているのか頬を膨らませていたが無視しておいた。
現在時刻は14時くらいだろうから、夕食の呼び出しが掛かるまでは幾分時間はあった。
話している間、ずっと目を輝かせリオンの話す内容の世界にハマり時間を忘れていたソフィーだがドアをノックされる音が響くとその時間も終了となる。
「夕食のご用意が出来ましたのでお迎えに上がりました。おや?ソフィーお嬢様はリオン様のお部屋にいらっしゃったのですね」
呼びに来たサイラスに指摘され、ソフィーは慌てて応える。
「ちゃ、ちゃんと宿題は終わらせてから来たんだからね!」
サボり常習犯なのか、真っ先に自分の正当性を訴え始めた。
「ホホホ、いえいえ、お嬢様が既に宿題を終えている事は承知しておりますよ。ではでは、お嬢様、リオン様達も参りましょう」
頬を膨らませながらも無言でサイラスの後に続くソフィーと猫一派。
夕食は豪華な物であったがリオンは特に食事に興味も無いので黙々食べていたがイヴは目を輝かせながらアレコレ質問しながら食べていた。
完全に世間知らずの絶壁田舎娘丸出しであったので、今度一通りのマナーを叩き込もうとテースタ爺と話し合おうと決めるリオンだった。
食後に風呂に案内された時にリオンが男湯の暖簾を潜るとそれに続いて当たり前の様にイヴ、オピス、ルプも付いて来た事に同行していたソフィーが悲鳴を上げた。
「妙齢な女性が殿方と入浴を共にするなんてぇぇ!ふ、不潔です!」
そんな叫びに今更気付いた様にイヴがハッとするが、すぐに思い直す。
「そ、そういえば……いやでも今までもずっと一緒に入ってましたし私は大丈夫ですよ。リオンも私と一緒の方が嬉しそうですからね、さあ早く行きましょう」
「勝手に俺の感情を捏造するんじゃねぇ。男湯と女湯に別れてんならお前等はあっちだろが。さっさと行け、絶壁娘ども」
頑なにくっ付いて来ようとする三馬鹿を女湯の暖簾に放り投げスタスタとリオンは男湯に入っていき、渋々女性陣も女湯に入って行った。
リオンとしてはどっちでも構わなかったが現在男湯に居る人物が2人きりで話す事を望んでいそうだったので、空気を読んだのだ。
「いや〜リオン君はモテモテで羨ましい限りだよ」
入った瞬間にそんな事を宣ったのはここの主人であるエドガーだ。
「何言ってんだ、お前は貴族なんだから女を囲うくらい好きなだけ出来るだろうが」
「ハハハハ、確かにそうかもしれないね。でも私は妻と娘を愛しているからね。余程の事でも無い限りそんな事をしようとは思わないね」
「そうか、貴族っぽくねえ考え方だな。だが好感はそっちの方が持てそうだな。ただこのままいくと余程の事が起こりそうだがな、娘だけだと世継ぎがいねえだろうがよ」
「ハハハ、それは良かった。確かに、息子も欲しい所だけどそれはまた今度話すとしよう。さてと、今はそろそろ本題に入らないと私が湯当たりしてしまうね。リオン君には私の考えなど早々に看破されてしまったと思うが、私はこの別邸に後2週間程滞在する用事があるんだけどね。その間、私の護衛として雇われる気はあるかい?」
「雇われる気はねえが、お前の心配事も明後日には治まると思うぞ」
「……それは、明後日までに何かが起こると思って良いのかい?だがそれだけだと私の心配事が無くなる筈は無いが……もしかしてリオン君が手を貸してくれるのか?」
「手を貸す、とは少し違えがここに居れば面白くなりそうだし、お前の政治思想は他の貴族より先進的だから今潰すのは惜しい存在だから今回は助けてやるよ。まあその思想が頭の固い今の貴族社会に通用するかは知らねえけどな。何事も時代の先駆者は他者に理解されねえもんだ」
「初めて会った時にも思ったがリオン君は本当に不思議な人だね。仮に私が先駆者なのだとしたら君というとても大きな存在に理解されていると思うけどねぇ。まあそのよしみではないが、いつ何が起こるのかだけは教えてほしいものだね」
「ふむ。クハハハ、俺は少しズルをしてるからノーカンだ。ただまあ縁も運の内か……いいだろう、襲撃日と規模だけは教えてやるよ。クハハハ、どうせ首謀者諸共皆殺しだからな」
エドガーは引き攣りながらリオンの話を最後まで聞き、湯に入っているにも関わらず全身が凍り付く様な寒気に襲われる。
「き、君は本当に何者なんだい……?ただの冒険者って訳じゃないだろう……」
「俺の地元には、好奇心は猫を殺すって諺があるんだよ。本当に知りたいなら教えてやってもいいけど、どうする?俺としては折角オピスとルプがソフィーと仲良くなったから泣かせたくはねえなぁ」
遠回しな様で直球なリオンの言葉にゴクリと生唾を飲むと、ハァとため息を吐き首を振る。
「いや、やめておこう。君とはこれからも良い関係でいたいし、恩人にこれ以上迷惑は掛けられないよ。いやはや、少し長湯をしてしまったね。私は先に失礼させてもらうよ。色々な意味で明日はよろしく頼むよ、ちなみにこれは独り言だけど、出来る事なら首謀者は生かして捕獲したいものだね。ではゆっくりと寛いでくれ」
去って行くエドガーを無言で見送り、気配が完全に去ったのを確認するとクツクツと笑う。
「若いのに肝が据わってるというか流石貴族というか、この国を潰す事になってもアイゼンヴァルト家は残してもいいかもな。多種多様の種族がいねえと結果滅ぼすにしても滅ぼす相手がいねえと楽しめるもんも楽しめねえからな」
この国を使ってどう遊ぶか考えながら温泉を楽しむ事にする。
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