第4話 二人きり

 リビングに行くと、兄がソファーでごろごろしながらテレビを見ていた。

 そのお兄ちゃんは、外見も行動も見苦しかった。


「ただいま。お母さんは?」と、Aちゃん。

「ああ、今病院行ってる」

「どうして?」

「急に具合が悪くなって・・・」


 Aちゃんは不安になった。お母さんが心配だった。


 その頃はまだ携帯がなくて、Aちゃんはお母さんが戻って来るのを寝室で待つことにした。


 Aちゃんは不安な気持ちを抱えながら、3階の部屋にいた。

 両親とAちゃんのベッドルーム。

 

 そこで、漫画を読んでいたら、階段がミシミシいってドアが開いた。

 お兄ちゃん・・・・Aちゃんは泣きそうになった。


 お兄ちゃんは黙ってベッドに乗って来ると、Aちゃんの隣に座った。


「何の漫画読んでるの?」

 今までそんなことを言ったことはなかったのに、その日は妙に積極的に話しかけて来る。Aちゃんは読んでいた少女漫画のタイトルを言った。

「少女漫画なんかくだらない。もっと違うことしよう」


 Aちゃんは多分、いやらしいことをしてくるんだろうと思ったそうだ。

 当たりだった。

 お兄ちゃんが体に触って来た。

 Aちゃんは怖かったから目をつぶった。

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