第2話 兄

「実は、Aにはお兄ちゃんがいるの」


 お母さんは言いづらそうだった。


「え?」Aちゃんは当然びっくりした。

「今まで養子に出してたんだけど・・・」


 お母さんによると、子どものいない親戚に養子に出していたらしい。


「でも、これから一緒に暮らすことになったから」


「え?どうして?」


「親戚に子どもができたから」


 Aちゃんは戸惑った。血がつながっているとはいえ、いきなり異性の兄ができたと言われても・・・やはり、異性の目が気になる年齢だ。ちょっと気持ち悪かったらしい。


 Aちゃんの家は狭かった。3LDKだけど、60平米くらいしかなくて、それぞれの部屋が狭かった。1階の部屋は物置、3階にある2つの部屋を両親とAちゃんの3人で使っていて、Aちゃん自身も自分の部屋を持っていなかった。Aちゃんはまだ両親と一緒に寝ていたそうだ。お兄ちゃんはどこに寝かせるんだろう・・・気になるところではある。


 俺は男兄弟2人で子どももいないけど、女の子の部屋は分けるべきなんじゃないかと思う。お互い気になるんじゃないだろうか。


 しばらくして、兄が戻って来た。

 太ってて背が高かったとか。


 少女漫画みたいに、イケメンの兄が・・・とは、ならなかったらしい。

 やはり怖かったみたいで、Aちゃんは何を話していいかわからなかった。


 年齢は1学年上。

 私立の学校に通ってたそうだ。

 学校の校舎は茶色いレンガで、横に広い建物だというのを覚えているそうだ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る