第286話「趣味にはやっぱりお金がかかる」
「ちなみに、蒼がほしい望遠鏡はここにはあるの?」
現在、蒼とアウトドア用品のお店に来ている。
アウトドア用品とは言っても、いるのはその中の天体観測のコーナー。
蒼の趣味で来ているので、そこにしか興味はなさそう。
「うーん・・・これとかほしいかも」
と、一つの望遠鏡を指さす。
そこにあったのは、天体望遠鏡と呼ぶにはあまりにも小ぶりなサイズ。
望遠鏡の鏡筒が極端に短い。30センチぐらいしかないんじゃないか?
素人だと、何がすごいのかよく分からない。ただ値段だけはえげつない。
「15万円・・・」
「高いよ。そりゃ」
「何がすごいの?」
「これね、焦点距離が長いし、倍率も高いの。だから遠くの星もはっきり観えてこのサイズ!」
「確かに小さいよね」
「スマホに繋げて、特定の星を自動で見つけてくれるらしくて」
「あ、自分で探さなくていいんだ」
「そう!」
「それは便利だね」
1年生の頃、一度だけ天体望遠鏡を使ってイチから自分で操作したことがある。
そこで苦労したのが、観たい天体を見つけること。
例えば、火星が観たいなら、夜空に浮かぶ火星を見つけて、そこから天体望遠鏡を色々いじくってピントを合わせる。
もちろん地球は自転しているし、公転もしている。だから、もたもたしていると視界外に天体がズレてしまうため、そこら辺の操作も難しい。
それを自動でやってくれるのは、画期的だし何より楽。
「でも、こんな大金持ってないよ」
「15万は大金だよね」
「それに、星雲とか星団も観測してみたいんだ。だから、大口径の望遠鏡もほしい」
「あ、うん・・・そうなんだ」
まぁ趣味なんてそんなもんですよね。
色んなものがたくさんほしくなる。
でも、そうやって色々考えるのも楽しいんですよね。
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