第283話「共通の趣味」


蒼に連れられ、やってきたのは複合型商業施設ことショッピングセンター。


何でも揃う便利な場所。ついでに知ってる顔に出くわす場所でもある。



「ちょっと見たいところがあって」


「なに見るの?」


「先輩ってよくゲームやってるじゃないですか」


「まぁ」


「私も一緒にできないかなぁって」


「あ、あぁ・・・」



一緒に・・・ねぇ。


蒼をFPSの世界に誘うのは少し・・・いや、かなりはばかられる。


というか、個人的には人におススメする界隈ではないと思っている。



「高いよ・・・かなり」


「先輩が持ってるの、パソコンですよね?」


「PCと、ゲーム機」



主に使ってるのはPCだ。



「それ、どれくらいするんですか?」


「俺が買ったときは・・・15万ぐらい?」


「じゅ、じゅうごまん・・・」



パソコンは高いですからね。


15万円でも、ゲームのできるPCとしてはエントリークラス。


俺もお年玉とか小遣いとか、かき集めて何とか買ったって感じ。



「とりあえず、みてみようか」



ということで、やってきたのは専門店街にあるパソコンショップ。


最近だと家電量販店でもゲームのできるパソコンが置いてあったりするが、今回みたいにゲームができる高性能なパソコンを探すときは、パソコンショップの方が無難。



「えっと・・・ここら辺?」



ゲーミングPCのところに向かい、陳列されているパソコンたちを眺める。


値札には、当たり前の如く6桁の数字が並ぶ。



「た、高いね・・・」


「安いのだと18万円ぐらいか」


「こんなものなの?」


「こんなもん」


「そうなんだ・・・」


「貯金あるの?」


「ちょっとは・・・でも、これは難しいかも」


「まぁ敷居は高いよね。無理して買う必要はないんじゃない?」


「ご、ごめん・・・」



そう言われると、こっちが申し訳なくなってくる。


俺の趣味に合わせようとして、パソコンを買おうとしてくれたわけだから・・・。


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