(四)-3(了)

「エミリア・マーチンのキスではなくて?」

 シッコの言葉に、俺が返した。

「もうそんなのどうでもいいだろ」

「わかったよ。じゃあ行こう」

 俺がそう言ったところで、カタパルトが動作した。機体が振動を立てて引っ張られる。俺たちは操縦席のシートに身体を押し付けられた。そして三秒もしないうちに機体はカタパルトのフックから離れ、無重力空間へ放出された。

 窓の外を見ると、月面がどんどん小さくなるのが見えた。

 こうして俺たちは宇宙船を操縦して木星へと旅立つことになった。


(了)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コロリョフの宇宙船 筑紫榛名@5/19文フリ東京【あ-20】 @HarunaTsukushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ