(三)-2

 俺たちが「こんにちは」とドックの中に声を投げ入れると、こだました声に反応して、小柄な初老の男性が顔を出してこちらにやってきた。

「なんだお前たちは」

「船を借りたいんです」

 シッコが元気よく言った。

「お前、運転免許証は持っているのか」

 俺とシッコはそう言われて昨日交付を受けたばかりの免許を懐から取り出して見せた。

「昨日取った? なんだ、素人じゃねえか。やめとけやめとけ。死ぬぞ。大人しくスペースバスにでも乗って行くんだな。その方が安全だし、ずっと安い」

(続く)

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