(三)-3
ま、そうだよな。俺はこのオヤジに同意した。
「いや、僕たち木星まで自分たちで操縦して行かなければならないんです!」
シッコが食い下がった。おいおい、本気か? そんなにエミリア嬢の気を引きたいのか。
「お前ら二人だけか」
「はい」
宇宙船の操縦は二人以上と決められている。短距離で個人向けの機体なら一人で乗れるものもあるが。
「ああ、そうかい。そいつなら格安でいいぜ」
オヤジは左肩越しに左側の機体を親指で指ながらシッコに向かって言った。俺たちから向かって右側の機体だった。左側の機体よりも機体の表面は凸凹しているし、塗装もしていないところもある。かなり使い古しのようだった。
(続く)
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