(一)-2

 そこでどうやって行くのか、という議題がなった時に、エミリアがそう言ったのだった。

 男がどうこうなんて話は、宇宙開発が進んだ今の時代となってはもうすっかり前時代的な言い回しだと思っていたのだが、どうやら彼女の思考は世紀単位で遅れてしまっているらしい。

 そもそも彼女は宇宙航空産業の最大手であるマーチン社の経営者一族の娘だ。宇宙開発世紀に入り、宇宙船や月面都市建設などで発展してきた会社の社長令嬢で、いわば箱入り娘だ。人類が宇宙開発に掛けてきた長年の時と労力のことなど、全く知らずに育ってきたのだろう。


(続く)

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