コロリョフの宇宙船
【い-14】文学フリマ京都_筑紫榛名
(一)
「今どき宇宙船を操縦できない男なんてありえない!」
エミリア・マーチンがクラスメイトの方を向いてそう大声で言った。それはホームルームでの出来事だった。
秋の連休の時期、学校の課外学習で木星へ行くことになっていた。学校の指定では現地集合現地解散であった。つまり、生徒たちは木星までは自力で行かねばならなかった。
木星までは星間航路が既に設けられており、スペースバスに乗れば行くことができる。お金持ち連中は家のクルーザーなどで行くことになるのだろうが、それはともあれ、木星までの交通手段は学校の方では用意してくれないのだ。
(続く)
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