北の深淵、その最奥に眠るもの
橘 紀里
【調査報告1】北部山岳地方にて発生した大穴について
【担当地域】ガイナ山岳地帯 ダレンアール
【調査目的】
先の大戦中に魔力の暴走を受けて発現したと見られる大穴の詳細及び人的、物的被害とその後の影響について。
【これまでの調査報告】
イェルナ歴二百八年、花の月、十五日。
長老会議の決定により、使者として旅立って二月。かねてより警告されていた通り、現地は大地の精霊の加護の厚い森に包まれている。
村を囲む森にはこれといった名はなく、ただ深い森、と呼ばれている。不可視の未来を見通す
今回の調査は一刻を争うというようなものでもない。村人の勧め通り、話を聞きながらダレンアールの者たちがやってくるのを待つことにする。
彼らは大地の一族とも呼ばれ、この地の精霊との
肝心の『大穴』、あるいは『亀裂』については、誰もが口を閉ざしている。それは禁忌の術にまつわるためというより、単純に多くの犠牲が出たことへの
調査担当者 エネア・オルランディ
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