第56話 最上階、三人kanjo

 最上階の8Fに着くと、ご丁寧に中間ポイントと同じような魔方陣があった。これも塔の入口と繋がっているらしい。いや、それより。この階についた瞬間、空気が変わった。何か荘厳というか、ような感じというか。この塔の管理者によるもの、なんだろうか


一同「……」

アスティ 「………………」


 私達は、いや特に私は、あまりの驚きに一瞬言葉を失った。しかし次の言葉は必然的に私の口から出てきた


アスティ「ど……どういうことなの? 私と同じ顔が3人も。そっくりさんにしては似過ぎでしょ!?」


 そう、目の前にいる、綺麗に、まるでアイドルのように横並びしている塔の管理者3人、おそらく『魔法使い3きょうだい』と呼ばれている奴らは、にあまりに見た目がそっくり過ぎた。格ゲーの2P,3P,4Pカラーみたいな、髪や衣装の色の違い、髪形も若干の違いはあるようだけども。どういうことだ……?


 向かって右側、黒髪で凛々しい表情が際立つ人物が口を開く


???「お初にお目にかかる。直接お話しさせて頂くのはこれが初になる。俺達が『魔法使い3きょうだい』だ」

ロスティ 「俺は3きょうだいの第一子。兄のロスティという。以後、お見知りおきを」


 なんだと、私にそっくりのこんな綺麗な顔で男かよ!


 割り入るように、向かって左側、透き通るような水色の髪、チャラい女子高生のような人物が口を開く


???「ロス兄はー、いっつも堅苦しすぎー!挨拶なんてー、もっと気楽でよくないー?」

リスティ「私はー、第二子の姉リスティ。もうー、待ちくたびれちゃったからー、早くー、終わらそうよー」


 最後に気だるそうにボソボソと、向かって正面、ウェーブがかった茶色の髪の、口調に独特のクセがある人物が口を開く


???「やれやれ、二人とも両極端。なかなか、上手くはいかないね。

そろそろ、僕が自己紹介するね。

ニスティ「僕は第三子のニスティ。そうそう、DNAキメラで性別キメラ。そしてそして、僕達は三つ子だよ!」


フォクシー「ご丁寧な自己紹介、痛み入ります」

ホーク「んー? 三つ子じゃなくて四つ子じゃないのか? ……なーんてな」

アスティ「凄い、DNAキメラでしかも性別キメラなんて珍しいよ! フタナリだよ!」

ホーク「お前は少し黙れ!」


 DNAキメラっていうのは、本来は人のDNAって両親のDNA、つーか染色体を50%ずつ引き継いで組み合わされて、女性ならXX、男性ならXYがセットで、結果的にその人のDNAは1パターンしかないはずなんだけど。何らかの原因、例えば自分の双子の細胞を取り込んでしまうなどで、2パターン以上のDNAを持っている状態のことだ


 性別キメラはもう少しややこしくて、DNAの組み合わせはXXとXYのどちらかになるはずだが、XXYとかになって3つがセットになってしまってる状態だ。男であり女でもある状態。実際に身体にも影響するか、正常に両方の機能もそなわるかは個人差があるらしい


 どちらも非常に珍しく、普通に考えてこの両方が同時に発現することはほぼありえない。ていうかめっちゃ珍しいんだマジで。おい冷静になってる場合じゃねーぞ! もっと語らせろよ!




ロスティ「さて、ここまでの道のりは『素質の測定』と『鍛練』という2つの目的でやらせて頂いた」

フレア「『鍛練』はわかるが……。『素質の測定』とは?」


 フレアちゃん、質問すべき所は割と的確に突いてくるよなぁ。そこは感心


リスティ「今更ー、そんなこと聞くー? 素質をー、引き出すために測定するのー。準備はー、必要だからねー」

ホーク「で、その結果はどうなの? もったいぶらないでくれる?」


 流石に今はおっさんに同意


ロスティ「結果はまだ出ていない。申し訳ないが、最終試練が残っている」

フォクシー「それはつまり……あなたたちと戦って勝つ。そういうことでしょうか?」


 緊張が走る。いきなり攻撃してきたりはしないだろうが……


ロスティ「そういうことだ。見事果たしたその時は、豪華賞品を差し上げよう」

アスティ「しっかり準備してから挑戦しよう! 絶対に勝つ!」

リスティ「戦う前にー、ヒントとか出してあげてもいいよー! 試しにー、話しかけてみたらー?」


 ずいぶんと余裕なんだな。それともクリアしてもらいたいってことか? まあせっかくだしヒントとやらを聞いてみる


ロスティ「魔泉のロスティという。回復が得意で、土属性は苦手だ。体力は高いが、俺を先に狙うのもいい」


リスティ「人呼んでー、炎殺のリスティ。攻撃力にはー、自信あるよ! 体力はー、あんまりないかも?」


ニスティ「はいはい、地縛のニスティ。そうそう、状態異常が得意かな? でもでも、風属性の相手は苦手だな。」


 ふむ、なるほど


フレア「ふむ、なるほど」

アスティ「え、フレアちゃんわかったの?」

フレア「もちろんだ!」


フレア「塔の底辺から とうにてっぺんまで 上り詰め」

フレア「そこにいるのは魔法使い? 底の知れない奴らかい?」

フレア「三人官女? 三人の感情? どういう勘定? Oh,kanjo?」

フレア「与えるは試練 求めるかもしれん 豪華報酬 どうか報酬」

フレア「相談して ちゃんと装弾 so done」

フレア「チェケラ!」


 急に謎のラップ……???


アスティ「おいどうすんだよこの空気……」

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