第55話 あるまじき強さ、ヴァンパイアの恐怖

 その後も何戦か雑魚戦をこなしていたが、最初に『アイツ』に出会わなかったのは単に運が良かったんだろう。『アイツ』って誰かって? それはいったん置いといて


 この階でもカラスは出てくるが、私とオッサンで殲滅できるのでもはや楽勝。あと『キメラード』っていういわゆるキメラ。こいつはニワトリ型のキメラね。ライオンとかトラじゃなく。全体的な強さは大したことないけど、こいつも石化を使ってくる


 『コメンテーション』っていう、の光の塊、こいつは弱いけど素早くて全体回復とかしてくる。遅延行為死すべし。




 ……でだ。中間ポイント過ぎたあたりからは、とんでもない雑魚敵がいたのだ。うじゃうじゃと


ナレーション「ヴァンパイアが現れた!」


 そう、『アイツ』っていうのは『ヴァンパイア』。とかとかって呼ばれ方もするあのモンスター。高い知能とプライドと戦闘力を持っているけど、日光とか十字架とかニンニクに弱いっていう。ちなみに、心臓に杭を打つと死ぬって話もあるが、そりゃヴァンパイアじゃなくてもだいたい死ぬでしょっていう


ヴァンパイア「貴様ら、見た目は下賤だが、この塔に招かれた客なのか? フフ、試させてもらおう」

アスティ「スカしてんなー、まあテンプレ通りのヴァンパイアって感じで、嫌いじゃないけど」


アスティ「くらえ、通常攻撃アイスソード!」

ヴァンパイア「ふん!」


ヴァンパイア「全体防御低下シールドブレイク!」

アスティ「な、フレアちゃんより早い!? しかも雑魚のくせに高度なデバフを!」


 こいつ、なかなか厄介な相手のようだ


フレア「そんなもので私の心までは砕けないぞ! 連舞皇斧脚!」

ホーク「魔法の試しがいがありそうだな。サンダー!」

フォクシー「微力ながら私も攻撃します、えい!」


 最初にデバフ使ってきたということは、次は強力な技を使ってくるかもしれん。フォクシーちゃんに合図する。まあオッサンは何とかなるでしょ


アスティ「私の魔法も食らえ! メガファイア!」

ヴァンパイア「フン!」


 魔法が効きにくいってことはないようだが、そこまで有効でもない感じか


フレア「新技いくぞ! 鋼心掌!」

ヴァンパイア「ぐはっ!」


 ――こうしんしょう。揺るぎない鋼の心を持って掌打を繰り出す技らしい。いわゆる中国拳法の『発勁』とほぼ見た目は同じ技だ。ただし原理は不明だが、しばらく防御力アップする効果もある。『鋼の心』によって防御力アップするのだってフレアちゃんが言ってた。結局本人もよくわからないんかい! 見た目はかっこいいけど!


ヴァンパイア「下賤な者たちよ! 滅びよ!」


 ヴァンパイアがこちら全体をなぎはらってきた! オッサンは今のをもう一度食らえばアウトかもしれん。全体攻撃でこれか。こいつ攻撃力が高いな


ホーク「クソ、負けるかよ! ロッククラッシュ!」

ヴァンパイア「ちっ、下等生物め」


アスティ「オッサンくたばるなよ! ハイヒール!」

ホーク「へっ、助かるぜ!」


ヴァンパイア「下賤なものに使うのは気が引けるが……ドレイン!」

アスティ「ウグっ、こいつ、ドレインまで使ってくるのか!」


 ドレインとはHP吸収魔法だ。どうやらこの世界のヴァンパイアは吸血はしてこないようだが、その替わりということらしい。しかもこちらが減ったHP以上に向こうは回復してないか? 早期決着したいところだが……


フレア「全ての技に魂を込める! 連舞脚!」

ホーク「魔法はまだあるぜ! メガファイア!」

フォクシー「アスティさんしっかり、ハイヒール!」


 半分以上は削れてるからたぶんもう少しだが、こいつ雑魚にしては攻撃力高い上にタフ過ぎる。本当はボスだったりしないか?


アスティ「通常攻撃ならルール的に連発しても問題ないはず! アイスソード!」

ヴァンパイア「ウグッ、こざかしいハエめ!」


ヴァンパイア「全体攻撃低下ソードブレイク!」


 こいつ、全体攻撃低下まで使ってくるのか。しかしもう遅い、そろそろ決着をつける


ヴァンパイア「こんな奴らに……ドレイン!」

アスティ「また私かよ!」


フレア「我が心ここに在り! 岩砕鉄!」

ヴァンパイア「グボァッ!」


 岩砕鉄はフレアちゃんの技の中では一番弱いはずなんだけど、なんか威力が上がってないか? 気のせい?


ホーク「効率は下がるが……ウィンド!」

ヴァンパイア「貴様ら……ごときに!」

フォクシー「必殺技の連発は体力を消費します! フレアさん、ハイヒール!」


アスティ「そろそろとどめ……どうだアイスソード!」

ヴァンパイア「わ、私の高貴な血が……」


 ヴァンパイアは砂になって崩れていった。そういう所はちゃんとヴァンパイアなのね


アスティ「はーぁ、やっと倒した。なんだこの強さボスキャラかよー」


 しかし、最上階までの道のり、結局このとは何回か戦うことになるのだ。素早さ高いから逃げるのも怖いし。なんでこんなのがたくさんいるの! ファ〇ク!


 とかとかあればまだだいぶ楽になったかもなー。あと回復アイテムも少し多めの方が?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る