第54話 新ルール、始動

 厄介なことになったが、要は使から、使ってことか。クソめ!


 あとのは単純に痛いな。相手の強さがわかんなくてもツッコむ戦法(?)ができなくなったし、この世界での死が現実の死だったらヤバイ。ピエロがなんか取り計らってくれるみたいなこと言ってた気がするが、あんなうさんくさいピエロは最初から信用してないし!


ホーク「おいアスティ、ちゃんと聞いてたか? 最初にまず最強技で削って、それから二番目に強い技を出すんだ」

アスティ「あーうん、聞いてた。でも本当にそれでいいのかな。このルール追加した奴が誰か知らんけど、そいつの意図とはちょっとズレてると思うんだよね、なんとなくだけど」

フォクシー「アスティさんには何か思う所があるということでしょうか?」

アスティ「うーん、まだ想像っていうか私の妄想だし、確定してないから言わないでおく。ちょっと自分の中で試してみたい」

フレア「煮え切らないな。戦闘ではしっかりしてくれよ」


 で、迷いの森から魔法の塔、そして魔方陣から中間地点の6Fに戻ってきた


アスティ「迷路……ではなくなったね。6Fは中央に向かうなのかな、たぶん。手抜きかな?」

フレア「迷路は頭が疲れる。どんな理由にせよ、私はこちらの方がまだいい。戦闘に集中できる」

フォクシー「とはいえ。この気配、おそらくモンスターはさらに強くなっているようです」

ホーク「、フォクシーちゃんもそれを察知できるとは流石だな。アスティと会う前は一人旅だったのはダテじゃないってことだ」

アスティ「あれ、そこらへんの経緯の話ってオッサンにしてたっけ?」

フォクシー「しっ、敵が来ます!」


ナレーション「モンスターの群れが現れた!」


 リザードマン、オーク、グールか。リザードマンは新モンスター、おそらくこの敵グループのリーダー格だろう。オークは斧を持った巨人のモンスターだ。ちなみにこの世界では別に姫騎士やエルフは見てない。グールは全体的に強化されたゾンビだな


アスティ「確実に削る! ファイアボール!」

フレア「最初は全力でいいのだろう!? 連舞皇斧脚!」


リザードマン「シャアァァ!」

アスティ「ぎゃあ!」


 リザードマンが武器の手槍で私の腹を鋭く突いてくる、現実だったら即死だな。いや現実でいきなり槍を突き刺してくる物騒な奴いねえよ、今の時代


オーク「むぅん!」

ホーク「ぐあぁぁぁぁぁ!」


 オッサンは防御が弱いので、魔法や必殺技じゃなくても大ダメージを受ける。自称海賊らしからぬ貧弱さだが仕方ない


グール「うえええぇ!」

フレア「ぐっ!」


 フレアちゃんは流石だ。火力の要にして、うちのパーティーの盾、防御の要でもあるのだ。私も似たような役割だけど、まだフレアちゃんにはかなわない


ホーク「全体攻撃は任せろ! ウィンド!」

フォクシー「微力ながら私も! えい!」


 こちらが優勢か。こんな雑魚相手にチンタラ苦戦してられない!


アスティ「各個撃破! リザードマンを倒す!」

フレア「了解! 連舞脚!」

リザードマン「キュオオオォォ……」


 よっしゃ、リーダー格は落とした!


オーク「おおおお!」


 オークが力任せに斧を振り回し、こちらのパーティー全員に攻撃がヒットする


アスティ「てめえぇこら!」


グール「ういあああぁ……」

アスティ「あっ、お前……」


 グールの腐った身体から繰り出される得体のしれない攻撃と体液(?)は、時に毒の症状をもたらす。単純に厄介な攻撃なんだけど、生理的に嫌なんだよな。汚ならしくて……


ホーク「とどめのアースシェイク!」

オーク「ぐわぁぁぁ!」


 うーん、魔法とは言え、こんな場所で地震起こしても大丈夫って訳わからんな……


フォクシー「これで終わりです!」

グール「きゅるるるぅ……」

アスティ「目標沈黙っと! 悪くないけど、もうちょっとスマートに片付けたかったね!」


 私はこの時まだ楽観視していた。もう油断してるつもりはなかったけど、恐ろしい雑魚敵が……それこそがゾロゾロといたのだ

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