第51話 ザコ敵の洗礼、集団カラスの攻略
さて、魔法の塔の1Fにいるわけだが。まずは保険かけとくか
――私は目をつぶり、いったん落ち着いた――
アスティ「たぶん右だよ」
ホーク「いや、左だな。こういうのは右利きが多いから、試練として迷わすなら左だ」
むむむ、一理あるが…
アスティ「こういうのは正解の道じゃない方は宝箱があるんだよ。だから右で合ってるの!」
ホーク「はいはい、リーダー様に従いますよ」
アスティ「むぅ……」
アスティ「あとアレ。『右手法』って言って、ずっと右手を壁についてたら迷わないんだよ」
ホーク「おっと、それは2D迷路の場合限定のセオリーだ。階層があったり、ワープがあったりすると通用しねえ。ついでに言うと、スタートやゴールが外壁にくっついていない離れ小島の場合も失敗するぞ」
アスティ「し、知ってたし! みんなの知識を試しただけだし!」
クソ! 別に知識マウント取りたかった訳じゃないけど、オッサンも結構、多方面に知識豊富なんだよな。フォクシーちゃんほどじゃないけどさ
アスティ「気を取り直して、右に進むよ」
しかし本当に変な内装だな。一見無節操に並んだ木箱やらなんやらが迷路になっている。移動させたり破壊したり飛び越えたりはできない。これも魔法の力なのだろうか?
おっと、敵だ。『
アスティ「んー、そんなに強そうじゃないけど、初めて見るモンスターだから全力で行くよ、ファイアボール!」
フレア「連舞皇斧脚!」
カラスはなかなか素早さが高いようで、フレアちゃんの攻撃から続けざまにいっせいに動いてきた!
禍ツ鴉A「カァカァ!」
禍ツ鴉B「ストーン!」
禍ツ鴉C「ウィンド!」
アスティ「何、こいつら魔法を!?」
アスティ「しかも石化魔法と全体風魔法だと!?」
カラスのHPは高くなく、次の攻撃で殲滅することはできた。しかし全体風魔法は特に厄介で、4匹以上出てきたら、向こうの行動次第では普通にこっちが全滅はありうるな……
アスティ「とりあえずフォクシーちゃんは回復お願いね!」
フォクシー「はい!」
さて、この塔は見たことある敵も新顔も両方出てくるようだ。特にカラスは危険だと思う。私はファイアボール連発でもMP余裕だけど、オッサンは消費MPが多い魔法ばかり使ってると厳しいんじゃないんだろうか。オッサンだし……
特にカラスが使ってきた「ウィンド」をオッサンもレベルアップで覚えたみたいだけど、ダメージも高いが消費MPも多い。ペース配分を考えて弱めの魔法を撃つか、回復アイテムを使うのもアリだろう
アスティ「あ、宝箱。中身は……ヘビーソードだ!」
ヘビーソードっていうのは、名前の通り重い剣だ。こちらの世界では私の能力が底上げされているらしく、確かに重さは感じるが振り回すくらいは普通にできる
とりあえず装備しとくか。ベストではないけど、今よりは攻撃力が上がる。ピザを拾い食いしつつ、敵を殲滅しつつドンドン突き進む!
フォクシー「これは……マジカルローブですね。私とホークさんはもう装備しています」
アスティ「相手モンスターによっては私に必要になるかもしれないね。念の為取っておこう」
フレア「ニードルナックル……これは今、私が装備しているものと同じだな」
アスティ「まー、しゃーない。あとで売ろうか」
フレア「ニードルナックル、2ドルくらいで売れるだろうか?」
アスティ「この世界にそもそもドルとかないでしょ!」
フレア「???」
カラス、割と出現率が高い上に、集団で出てくるし、ウィンドも唱えてくるからウザイ。ストーンもHPにはダメージないけどウザイ
アスティ「いい加減カラスうざいから逃げちゃおうか」
これは良くなかった。カラスの素早さの高さを舐めていた。逃げるのに失敗してウィンド2連発を食らう
アスティ「え、ちょっと待ってヤバイ! 立て直しは無理だし、イチかバチかでもう一回逃げよう!」
なんとか2回目の逃げは成功。しかしリーダーとして最悪の判断だったな。今後カラスからは絶対逃げないようにしよう。マジで死ぬ。はぁ、ここまで登ってムダになったらと思うと冷や汗出るわ。クソカラスめ
アスティ「ホワイトロッド! もうホークのオッサンとフォクシーちゃんは間に合ってるけど……あ、私が装備しちゃおうか、ホワイトロッド。魔法の威力が上がるし」
これが実は大成功で、憎きカラスを私のファイアボールとオッサンのウィンドで殲滅できるようになった。ギリギリ倒せないことが多かったんだよね。安全性が格段に上がったし、何より爽快。オッサンが集中攻撃されたり石化喰らわない限りは安定。逆に言うとまだリスクは少しあるってことなんだけど。ヤベーなカラス
モンスターと戦いつつ、一応は皿に乗ってるけどピザを拾い食いつつ、塔を登ったり降りたりしてるのって、改めて考えると異様な光景なんだけど。それが試練として……豪華賞品の条件として求められてるんだから仕方ない。何の為にやらされてるかは疑問だけど、考えたってわからないから今は突き進むしかない!
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