第50話 『魔法の塔』なのか『魔法使いの塔』なのか
アスティ「という訳で、森の中にある塔にお邪魔していますよーっと」
ホーク「誰にしゃべってんだ?」
アスティ「しっかしこれは……」
私は塔の中を見渡した。どういうコンセプトというか時代感なんだろう。うさぎのぬいぐるみや、薬局にありそうなうさぎの像、ファストフード店の看板、工事中の看板、工事の三角コーンがある。どちらかというと現実世界? いや、でもここは現実世界とは全く違う異世界のはずだが。私が魔法とか使えてるし……
アスティ「これはなんというか……統一感がないというか、カオス?」
ホーク「正直、センスはあまりねえな。迷いにくくて楽かもしれんが、この内装はどうかと思う」
フレア「この内装はセンスがないそう!」
ここは華麗にスルーしよう
フォクシー「しかし敵は手強いですし、塔の高さもかなり高いようです。気を引き締めましょう!」
その時、唐突な呼び出し音? 業務連絡? なんかそんな感じの音が塔の内部で鳴った
謎の音「ピロリロ、ピロリロ」
???「やあやあ、ようこそ。僕達の『魔法の塔』へ!」
???「久し振りの客人方、初めまして。俺達は『魔法使い3きょうだい』という。
この『魔法使いの塔』を管理している」
???「私達はー、塔の頂上にいるよー! 果たしてー、たどり着けるかなー? 無理ー、かもしんないけど! キャハハ!」
なんだこいつらは。話が見えない。声からして3人いるらしい。そういえば町の人も『魔法使い3きょうだい』って言ってた気がする。こいつらのことか?
???「あまり客人方に失礼な口をきくな。客人方、大変失礼した」
???「そうそう、無事にたどり着けたら、ちゃんと豪華賞品も用意してるからね! ストーリー上必須でない? らしいけど!」
???「途中にあるー、ピザを食べればー、HPとMPがー、少し回復するよー。有効活用すればー、案外楽かもねー!」
アスティ「え、落ちてるピザ食べるの?」
???「大丈夫大丈夫! 魔法で衛生状態は保ってるし、階が変わるたびに補充してるから!」
アスティ「アッハイ」
???「それでは客人方。塔の最上階にてお待ちしている」
アスティ「なんか言いたいことだけ言って丸投げって感じだね。クソかよ」
ホーク「まあそう腐るなよ。豪華賞品もあるらしいぞ」
フレア「商品はともかく。この塔の高さと敵の強さ! いい鍛練ができそうだぞ!」
フォクシー「これは一種の試練……。しかし油断をしてはいけません! 気を引き締めて行きましょう!」
アスティ「真面目なフォクシーちゃん可愛すぎる!」
フォクシー「えぇ……?」
豪華賞品って何なんだろう? 魔法使いだから、やっぱり魔法に関係あるのかな? しかし回復手段を用意してることといい、さっきから殺気が……じゃなかった、モンスターの気配がしてることといい、『普通に戦いながら迷路になってる塔を登って来い』ということらしい。正直かったるい……
でも町の人でも存在を知ってるんだから、それなりにちゃんとした見返りはもらえると見ていい気はするねこれは。私の勘だけど。さーて、頑張って登るか!
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