第30話 束の間の休息

 さーて、いつものように情報収集しますか。船に乗っている人の中にも、何か役に立つ情報を持っている人がいるかもしれないし。しかし船の甲板に出てる人が多いな。せっかくのデカい船だからかな、やっぱり。今日は天気も良く、快晴の青空、波も強くはない。確か大きい船の方が波の影響は受けにくいんだっけ


ピエロ「やあ、また会ったね」


 げ、またじゃん……


アスティ「いつ乗ったの? ストーカー?」

ピエロ「セーブは別ファイルがオススメだよ。じゃないとハマるかも!? セーブするなら別ファイルだよ!?」

アスティ「何言ってんだこいつ」


ピエロ「次のイベントに進むなら客室へ行こう! ここだよ!」

ホーク「いい奴じゃねえか」


 ほんと訳わかんないピエロだ。こいつちゃんとパスポート持ってるのか?


隅っこの若い紳士「結構大きな船なんだね。予想以上だよ」


 なんでこんな隅っこにいるのだろう。狭い所の方が安心するってやつ?


赤髪マスク女 「………………………!!?」

ナレーション「今にも死にそうな顔をしている。放っておいた方がいいのだろうか?」


 まーた変な声が聞こえる! まあ確かに今、目の前にいるパンクロッカーみたいな恰好の赤髪マスク女は船酔いなのか、死にそうな顔をしているのだが。人が吐きそうな時って放っておくのがいいのか、声をかけるべきなのか、背中をさすった方が良いのか、よくわからん


 向こうに親子連れが見える。役に立つ情報は持ってなさそうに見えるが、とりあえず声はかけてみるか


男の子「おおきな おふね おふね おとうさんに あいに いくの!」

母親「子供が騒がしくしてしまってすみません。単身赴任中の主人に久し振りに会えるので、はしゃいでしまって…」


 ん、それは仕方ない。私だってこの船旅でワクワクドキドキしてるし。この船バカデカいもんね。しょうがない


 反対側にいるのは……まさか禁句連か!? まあ私達のことはまだ知られていないはずだし、ちょっとだけ話しかけてみるか…


コスプレ男「禁句連? いいえコスプレです」

フレア「まぎら……まぎわら……まぎわらわ……まりがわ……?」

ホーク「まぎらわしい……な」


 なーんだコスプレか。驚かせやがって


アスティ「コスプレだって! オッサンと一緒だね!」

ホーク「お前なぁ…」


コスプレ女「禁句連って超クール! あなたもそう思わない?」

アスティ「は、はぁ……」


 これからそのをぶっ潰す予定なんだよな。絶対言えないけど。こうやって禁句連を支持してる人達もいるのか……


 船の前の方はどうなっているんだろう。ちょっと見に行くか


フォクシー「これ以上進むと邪魔になってしまいます」


 おっと、それもそうか。そろそろ客室の方に戻るかな。つーかピエロが言ってたって何よ? 嫌な予感しかしないな。おっさんも巨大生物がどーのとかさ。ピエロによると『セーブは別ファイル』か。アホらしい


 でも、もし……もしできるんならやってみるか。『別ファイルへのセーブ』ってやつ。全然やり方わかんないけど念じればいけるのかな?


 ――私は目をつぶり、いったん落ち着いた――

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