第20話 首切りバニーとの再戦

 さて、首切りバニーは強敵だが、こちらのレベリングはもう十分だろう。まずは武器と防具を買いそろえた。現時点でのほぼ最強装備だ。……とは言っても『固いブローチ』は防御+10で2000Gと、高いわりには効果が微妙だったので、それは買ってない


 まあ勝てなかったら買うくらいでもいいよね。お金もったいないし。正直な所、負けても全快してもらえるけど『首を切られて死ぬ』のはあまり気分が良くなくて心理的に抵抗あるので、そんな何度も同じ目に遭いたくはないんだけどさ


 次に教会で祈り、スライムに話しかける


スライム「貴重な復活の羽をタダであげるよ。なくなったらまたおいで」


 正直、蘇生アイテム1つだけなのは不安だ。あのバカみたいな即死攻撃持ちのバニーが相手なら、せめてあともう1つくらい蘇生アイテムが欲しい


スライム「もう1つ持ってるじゃないか……。仕方ない、どうしてもと言うなら特別にもう1つ、500Gで売るよ」


 やったぜ、言ってみるもんだな。ちなみにもう1つは流石に……?


スライム「欲張り!」


 ……ですよねー


 で、宿屋に泊まって準備万端! 早速バニーの所まで、私、フォクシーちゃん、フレアちゃんの3人で行ってみる。のことを考えると、負けても……いや回復してもらえるはずなのだが、万が一もあるし、慎重に念を入れておくか


 ――私は目をつぶり、いったん落ち着いた――


アスティ「さて、リベンジに来たよ、バニーさん」


バニー「ふう、性懲りもなくまた来たのね」

バニー「あなた達は禁句連を倒そうとしているのでしょう? わざわざ私に挑戦する必要はないのに。それでもあなたたちは私と……」


 バニーはバク宙し、殺すような目でこちらを見る


バニー「戦いたいと思う!?」

アスティ「モチのロンよ!」

バニー「後悔しないでよ!」


ナレーション「ベニー・ザ・バニーが現れた!」


 さてこの重苦しいプレッシャーは、この紫っぽい闇の『固有結界』のせいなのか、バニー本人によるものか。まあ両方か、クソが


 まずは全力攻撃でいこう。1ターン目はまた様子見してくるだろう。私は今や力のパラメータがだいぶ伸びているため、ファイアよりも通常攻撃の方がダメージが高い。杖装備すれば魔力が伸びてファイアでもう少しダメージを稼げるかもしれないが、MPがもったいない


アスティ「くらえ!」


 バニーに剣を振り下ろす。普通の人間相手ならグロいことになってたかもしれないが、こいつに手加減は無用だ


フレア「連舞皇斧脚!」


 ――れんぶこうじんきゃく。連舞脚……つまり連環腿からさらに強烈な回し蹴りを繰り出す、フレアちゃんの奥義であり、レベリングで新しく習得した必殺技だ。強くてカッコいい!


フォクシー「えい!」


 フォクシーちゃんも続けて杖をバニーに叩きつける


バニー「ふん」


 手ごたえは確実にある。特にフレアちゃんの攻撃でダメージは稼げている。しかし流石にHPが高いようだ


 さて、攻撃の手は緩めない。こいつはただでさえ攻撃力が高いのに、即死攻撃持ちだ。蘇生アイテムの数は限られている。長期戦になるほど不利になる


アスティ「はぁっ!」

フレア「連舞皇斧脚!」


バニー「なめんじゃないわよ、これで死になさい」

バニー「……デス!」

アスティ「ハズれろ!」


 正直な所、即死魔法『デス』はこちらにとって一番の当たり行動だったりする。成功する確率は低く、失敗時はノーダメージだからだ。そしてどうやら今回は失敗してくれたようだ。まあ、即死魔法が当たり行動な時点で、こいつの強さがヤバいのだが


フォクシー「フレアさん、ヒール!」


 フレアちゃんの新技「連舞皇斧脚」はHP30消費とややコストが大きいため、2ターン分……HP60消費したところでフォクシーちゃんに回復してもらう作戦だ


 フォクシーちゃんには悪いけど、今回フォクシーちゃんは基本的に、回復時以外は通常攻撃をしてもらっている。そこまでダメージを与えられないが、防御よりマシだからだ。フォクシーちゃんは仮に防御しても、バニーの通常攻撃以外は耐えられないことが結構ある。それならば少しでも攻撃参加してくれた方が1ターンでも早く撃破できるので、結果的にはまだ安全という、一応リーダーである私の判断だ


アスティ「この変態女、早く潰れろよ!」

フレア「連舞皇斧脚!」


バニー「……」


 バニーが消えた……しかけてくる!


フレア「その技はすでに知って……え?」

バニー「今回もだと思った? 今のは初めて見せる技、逃れ得ぬ首狩り回避不能よ」


フレアちゃんの無残な姿がそこにある。うえぇ、グロい。いや落ち着け。戦闘不能は蘇生アイテムで治せる


アスティ「フレアちゃん!」


一瞬で全快するフレアちゃん。さっきまで床に散らばっていたのに、あっという間に元通りだ。流石にここが異世界であることを痛感する


フレア「すまない、アスティ」

バニー「油断してる場合?」


 バニーがすかさず攻撃するのは……フォクシーちゃんだ。しかしバニーは通常攻撃、フォクシーちゃんは防御しているので致命傷にはならない。私かフレアちゃんが戦闘不能の場合は、立て直しのためにフォクシーちゃんは防御するよう事前指示も出していた。私の采配が光る。流石私だ


 アスティ「フォクシーちゃんはそのまま防御、今回復してあげる……ヒール!」

 フレア「もう遅れは取らん! ぬおお連舞皇斧脚!」

 バニー「うう、やるじゃない!」

 

よし、あとひといきだ!


 アスティ「いけえ!」

 フレア「とどめ、連舞皇斧脚!」

 バニー「ぐうっ!」


 バニーが膝をついた。立ち上がらない。そして両手を上げ、怪しい固有結界を解除した。降参ということか?


バニー「だいぶ手加減してたとはいえ私が負けるなんて…。案外、この世界を救う勇者なのかもね。自信があるなら、やってみるといいわ。」


 なんか上から目線なのがムカつく! しかし実際かなり手加減してたのだろう、これでも。こっちにとっては命懸けでも、バニーにとっては軽いスパーリング程度だったのかもしれない


 あまり勝った気がしなくて悔しいが、今回のバトルでレベルが2も上がった。お金もたくさんもらえた。バニーから巻き上げた訳ではない。誰が払ってるのかしらないが、そういうシステムらしい。どういうこと?


アスティ「よし、一応バニーには勝ったから、気を取り直して祝勝会やるよ!」

フレア「うむ、次なる鍛練に向けての祝勝会だな!」

フォクシー「だいぶ遠回りしてしまいましたが、港にあるフードポート食堂に行きましょうか!」


 で、祝勝会をやる訳だが、あんな事件に巻き込まれるなんてなー。今思うと、偶然じゃなくて必然だったんだろうけどさ。あー、ご飯は美味しかったよ。事件の話もご飯の話も、それはまた次回ってことで。……次回って何?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る