第10話 個性的な3人目

 洞窟を進んでいくと、外では見かけないモンスターに何回か遭遇した。イビルバッドっていう、外のこうもりより少し強いやつと、サソリと蛇。毒を持ってる上にHPも攻撃力も高いので厄介


 というか、サソリはかなりタフで、私の『ファイア』でギリギリ倒しきれないのだ。なんてこった……


 それでも大きなピンチにならず進んでいくと、何かの音が、いや誰かの声が?


アスティ「あっちから何か聞こえない?」


 声らしきものがする左手側の道に曲がって進んでいくと……


???「セイッ! ハッ! テイッ!」

???「セイッ! ハッ! テイッ!」

???「セイッ! ハッ! ……」


???「ウリャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 バンッ!!!


 おそらく格闘家であろう、赤いチャイナ服(?)に似合う2つのだんご結びと両サイドのおさげ……ではあるが金髪、褐色の肌という取り合わせ。体格の良い、腹筋触りたい……じゃない、その少女から勢いよく繰り出された、あまりにも気合の入り過ぎた叫び声と共に繰り出された正拳突き。目の前の大岩は破裂音を発して粉々に粉砕されていた……


???「ふうー……」


アスティ「…………………………………………」

フォクシー「………………………………………」


 な、何と声をかけるべきか……えーと……?


アスティ「あの、一体ここで何を……?」


 そう、ここにはモンスターがいて、たぶん禁句連もいる。いったい何をしているのか聞かなければ


???「私はフレア。見ての通り、ここで鍛練をしている。君達は?」


 『見ての通り』って。ツッコみたくなるのをグッとこらえた


フォクシー「失礼しました。私はフォクシーと申します」

アスティ「私はアスティ。ここに禁句連の人っていますか?」


 単刀直入に聞いてみた


フレア「!」

フレア「何、禁句連だと!? お前ら奴らの手先か!? 覚悟!」


 なんか思った以上にヤベえやつだったらしい。とりあえず落ち着いてもらおう


アスティ「待って待って! 禁句連の手先というよりは敵というか」

アスティ「これから倒すことになるのかなーと? そんな感じ?」

フレア「偉い!」


 いちいち声がデカい。洞窟なのでよく響く。モンスターが寄ってきそうだ。逆にうるさすぎて寄ってこないかもしれないが


フレア「私も禁句連には借りがある。良ければ同行させて貰えないか?」


 禁句連に借りがある? 意外だが接点があるのか?


フォクシー「ありがたい申し出ですが……簡単に決めてしまっても良いのでしょうか?」


アスティ「どちらかというと私達の当面の目標も鍛練だし、仲間も増えれば言うことなしだよ!」


 個性の強すぎる人だが、強さはホンモノだろう。なにより、2人旅で火力担当が私1人は心細い。彼女を仲間にできれば、実質的な戦力は2倍以上になりそうだ


フレア「鍛練が目的!? ますます偉い! 当面の目標ではなく人生の目標にしろ! みんなで高みを目指そう!」


 ここはスルーだ


アスティ「宜しくね、フレアさん!」

フォクシー「フレアさん、宜しくお願い致します(すごく不安…)」


 フォクシーちゃんの心の声が聞こえた気がする


ナレーション「フレアが仲間になった!」


アスティ「じゃあ改めて。この洞窟にいるらしい禁句連を探してぶっ飛ばそう!」


ナレーション「並び方によって敵から狙われる確率が変わります。『ならべかえ』でフォクシーを3番目にすると安全です」


 謎の声に従うのは癪に障るが、言ってることはまともなので今回は従っとくか


アスティ「私とフレアさんは前衛、フォクシーちゃんは後衛をよろしく!」

フォクシー「了解しました!」

フレア「よし、任された!」


 こうして3人で洞窟の奥へ進むことになった。まだこの時、私は彼女の本当のヤバさには気付いていなかった。結果的にはそれが良かったのかもしれない

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