第6話 語るユーシャ、聞くユーシャ

 さて、この井戸の中(?)の世界から帰るか。どうやって戻るのだろう? あの魔方陣に乗れば良いのかな?


アスティ「よっと!」


 魔方陣に乗ると瞬間的に元の場所に戻ってきた


フォクシー「アスティさん、どうしたんですか!? しっかりしてください!」

アスティ「え、何が? ど、どうしたのフォクシーちゃんこそ……?」


フォクシー「ああ、よかった。アスティさん、井戸を見つめたままぼーっとして、私が話しかけても反応がなくて……急に具合が悪くなったのかと」

アスティ「んーー。あー、大丈夫大丈夫。ちょっと考え事しててフォクシーちゃんの声が聞こえてなかっただけなんだよね、ごめんね!」


 どうやら井戸の中の世界には、私の意識だけが飛ばされているとか、そんな感じっぽいね、これは。冒険を振り返ったりするのには便利だから今後も使いたいけど、次までに上手い言い訳を考えておいた方が良さそう。余計な心配かけるのもちょっとねー


アスティ「あ、そうだ。後回しにしてたけど、金髪の自称『話の長いユーシャ』の話でも聞きに行こうよ」

フォクシー「そうですね。私達はまだ戦闘に不慣れですし、今後の役に立つかもしれません」


 町の中心には相変わらず、いかにも勇者っぽい金髪の青年が立っていた


ユーシャ「私は話が長いユーシャ。戦闘のプロだ。『エンディングまで使える戦闘指南』をコーチしてやろうか?長話になるが……」


 (さっきと同じこと言ってやがる気がするな)


アスティ「はい、ぜひ聞かせてください」


 ユーシャの目の輝きが増したように見えた。ユーシャは語り始める……


ユーシャ「まずはできるだけ良い装備を整える。基本中の基本だな。武器優先で揃えた方が敵を早く倒せる。だが攻撃魔法がメインなら後回しで良い」


ユーシャ「ザコ敵一体に苦戦することは少ない。だが、敵がグループの時は注意しろ」


ユーシャ「『敵の数を減らす』『危険な敵を先に倒す』」

ユーシャ「この2つが大事だ。」


 なるほど、確かに基本中の基本だが、初心忘れるべからずというし。ユーシャは話を続ける


ユーシャ「敵の数を減らすのは最優先だ。一撃で倒せる敵は先に倒せ。」


ユーシャ「通常攻撃一撃でダメなら『とくぎ』だ。それで倒せないなら一番HPの少ない敵を集中攻撃するんだ。つまり、敵のだいたいのHPは把握しておいてほしい」


 『とくぎ』というものがあるのか。必殺技とか魔法みたいな?私も使えたりするのかな?


ユーシャ「見慣れない敵はHPがわからないと思う。経験を積んで、だいたいのHPを覚えると大幅に有利に戦える」


 HP……やっぱりここはRPGの世界なんだろうか。でも敵のHPなんてわからなくない? 初めてスライムと戦った時はわからなかった気がするけど……


ユーシャ「……難しかったかな?最初はこれだけ覚えれば良い。『とくぎ』で一撃で倒せる敵を先に倒す。」




ユーシャ「次に『危険な敵を先に倒す』だ。危険な敵とは何か? 考えよう?」


 危険な敵? とにかく強ければ危険なのでは……?


ユーシャ「単純に攻撃力の高い敵は一番危険だ。当たり前だな」


 (そりゃそうだ)


ユーシャ「状態異常、特に麻痺など、行動を邪魔してくる敵もかなり危険だ。こちらの回復や攻撃のタイミングが狂う」


ユーシャ「それ以外の状態異常はあまり危険はない。しかし油断はするなよ。

状態異常は不利には違いない」


ユーシャ「即死や石化は成功率がかなり低い。しかし成功してしまうと絶望的だ。

楽観視しない方がいい」


 即死とか石化とかもやっぱりあるのか。こわ…。回復手段もちゃんとあるんだよな……?


ユーシャ「状態異常はそれほど成功率が高くない。しかし逆に、状態異常付きの全体攻撃は誰か状態異常になる可能性が高く危険だ」


ユーシャ「まとめると! 倒す順番は優先度の高いものからならべると」


ユーシャ「一撃で倒せる敵!」


ユーシャ「攻撃力が高い敵!」


ユーシャ「特に全体攻撃の……状態異常を持つ敵!」


ユーシャ「……ま、例外もあるがそれも経験、鍛練だ。」


 なるほど。タメになるが……本当に話が長い!


ユーシャ「それと、ピンチの時は防御も使え。防御しながら他のキャラで回復する。

地味だが、生き残るための重要な戦術だ!」


 これは盲点だった! フォクシーちゃんがピンチになったら、フォクシーちゃんに防御させながら私が回復させてあげようっと。私の方が素早いしね


ユーシャ「以上だ! 長話を聞いてくれてありがとう! 立派なユーシャになってくれよ!」

アスティ「あー疲れた!」

フォクシー「あ、アスティさん!? 失礼ですよ!」


 さて、役に立ちそうな話もウンザリするほど聞けたし、装備を整えたらザコをしばきに行くか!

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