第2話 寄り道と、スライムと

アスティ「え、今の声は何?」

フォクシー「声ですか? アスティさん以外の声は特に何も聞こえませんでしたが?」

アスティ「おかしいなー?」


 はっきりと『フォクシーが仲間になった!』と聞こえたのだが、私だけに聞こえる天の声だったのだろうか? それとも、空耳とか? 正直まだ混乱しているのでそれはあり得ることだ


 それはそれとして、次の目的地は近くにある『ビギンの町』らしい。早速向かうことに…はしない。ここでちょっとした私の好奇心が芽生えてしまった。


『ここで目的地をスルーしたらどうなるだろうか?』


 私が先頭でフォクシーちゃんと歩く。少し歩くと『ビギンの町』らしき、小さな町が見えた。あえて私はその『ビギンの町』を通り過ぎてみた


フォクシー「ビギンの町でご説明します。物事には順序があります!」


 怒られてしまった。流石に当たり前か


アスティ「ごめん、ほんの出来心で」

フォクシー「危険ですから、勝手な行動は慎んでくださいね!」


 気を取り直して『ビギンの町』へ向かう私達、しかしその時……!


アスティ「……!」


 半透明の緑色の液体……その中に頭がい骨が浮かぶモンスター……スライムが現れた! しかも3体!


 某RPGの影響が大きく、スライムは最弱モンスターと思われがちだが、作品によっては人間を包み込み、窒息させたり酸で消化する恐ろしいモンスターとして描かれることもある。こいつが前者であることを願うが……


 そもそもこの世界は何なのだろう。やはりRPGなのか。先程の謎の声といい。しかしこの世界で死んでも現実には影響はないのだろうか。死んでも教会復活やセーブからの巻き戻しはあるのか。そのまま現実の私も死ぬなんてことが万が一あれば……


フォクシー「アスティさん! 構えて!」


 そんな場合ではなかった。目の前の敵を倒すんだ!


アスティ「まずは同じ敵を集中攻撃して倒そう!」


 相手の強さはわからないが、まずは敵の数を減らすのが得策と考えた


 ――私が攻撃し、ワンテンポ置いてフォクシーちゃんが攻撃、スライムを1体撃破した!


アスティ「ナイス、フォクシーちゃん!まずはひとつ!」


 生き残ったスライムのうち1体が素早く移動し、私に体当たりしてきた!


アスティ「うっ、クソ、こいつ!」

フォクシー「アスティさん!?」


 致命傷ではない。が、5回くらい喰らえば危険だと直感的に判断した。


 (大丈夫、勝てる)


アスティ「えい!」

フォクシー「はっ!」


 冷静に、再び生き残りのうちのもう1体を攻撃し、撃破した


フォクシー「きゃっ!」


 残り1体になったスライムは、今度はフォクシーちゃんを攻撃してきた。致命傷ではないとはいえ、フォクシーちゃんならば私より体力が低く、3~4回の攻撃が致命傷になるかもしれない


アスティ「とどめ!」

フォクシー「はい!」


 私達の攻撃は確実に相手をとらえ、撃破。スライム相手とはいえ、初勝利だ


アスティ「やった!」


 恐ろしくない方のスライムだったのが幸いとは言え、たかがスライム相手にこんなに苦戦するとは。この先が不安で……不安で……少しワクワクしてきたかもしれない


フォクシー「アスティさん、今度こそ『ビギンの町』へ向かいます。真面目にやってくださいね」


……フォクシーちゃんにしっかりと釘を刺されてしまった

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