26話。漁船ゲット。上級の武器とアイテムも大量ゲット
「……で、この者らをどうするのじゃ?」
縄で縛った襲撃者たちを前に、アルティナが腕組みをした。
「どうやらヴァルム家に雇われて、猫耳族たちを拉致する目的でやってきたみたいだね……」
「いえ、違います! 違います! 俺たちが勝手にやっただけで、ヴァルム伯爵様は関係ありません!」
獣人ハンターたちは、首をブンブン振って否定した。
「白々しい。襲撃の指揮を取っていたのはレオン・ヴァルムじゃろう? 言い逃れはできんぞ!」
「そうにゃ! そうにゃ!」
「カル様、このことを王女様に伝えて、ヴァルム家には厳重に抗議すべきですにゃ!」
村長が怒りを込めて進言する。
「もちろん、襲撃の背後関係も含めてシスティーナ王女に報告するよ。それとあなた方の持ち物は、すべて没収させていただきます」
それを聞いた獣人ハンターたちは、恐怖に凍りつく。
ヴァルム家に失敗の責任を取らされることを恐れているようだ。
「特にあの漁船は良いね。偽装のためだろうけど、漁網(ぎょもう)まであったのは、正直とてもありがたいな。これで、この島で漁業ができるね」
猫耳族を連れ去るために、獣人ハンターたちは漁船に偽装した大型船でやってきていた。アルスター島には船が無かったので、これはとてつもなくありがたいプレゼントだった。
「にゃ!? ということは、お魚がいっぱい取れるのにゃ!」
ミーナのその一言に、猫耳族たちが目を光らせて興奮をあらわにした。
「そうだよ。網で魚を一網打尽にできるから、売るほど魚が手に入るね」
この島の食糧事情が良くなるだけではない。漁業ができれば、お金が手に入る。
それを元手にさらに事業を起こして、この島を発展させることができるだろう。
「本当ですかにゃ! すごいにゃ! すごいにゃ!」
「今夜は、またお祭りですにゃ!」
「おおっ! これからは、魚貝料理がめいっぱい楽しめるという訳じゃな!」
アルティナも小躍りせんばかりに、喜んでいた。
獣人ハンターたちは、回復薬や上質な武具も持ち合わせていた。ヴァルム家が用意した物のようだ。
もちろん、これらもすべて没収する。
「にゃ! この剣はミスリル製にゃ! これは良いモノが手に入りましたにゃ」
「こっちは鎖かたびらにゃ!」
「エクスポーションも大漁にゃ!」
「うーん、こんなに良いモノをたくさんプレゼントしてくれたとなると、逆に感謝しなくちゃいけないくらいだね」
「お、俺たちは、どうなるんですかい!?」
下着以外はすべて奪われた獣人ハンターたちが絶叫した。
「あっ、もう帰って大丈夫です。飛竜で本土まで送ります。ここには牢とかないですので」
罪人を閉じ込めておくのは、見張りの牢番を置いたり食事も用意したりで、意外と大変だ。
なので、早々に解き放つことにした。
「えっ、まさかそんな……持ち物を没収するだけ?」
「腕の一本は斬り落とされることを覚悟していましたぜ!? ありがとうございます!」
大半の者は感謝を口にした。
「ええっ!? カル様、これくらいで許しちゃって大丈夫なんですかにゃ?」
ミーナたち猫耳族は、不安と不満が混ざった目を向けてくる。
「彼らはヴァルム家に命を狙われる身になるから、罰としてはそれで十分だよ。ヴァルム家が襲撃の首謀者であることは、王女殿下にお伝えするからね」
僕は読心魔法で、彼らの事情や背後関係まで、すべて調べた。
首謀者がヴァルム家だとバレたら、彼らは報復として、父上に殺されてしまうみたいだ。
それを承知でこの仕事を引き受けたのだから、残念だけど自業自得と言える。
彼らはこれから、恐怖に震えて生きていかねばならない。
猫耳族を狩って奴隷にするような悪人の末路としては妥当だろう。
「なるほど、なのじゃ。何もしなくても、ヴァルム家がこいつらのカタをつけてくれるということじゃな」
「ひっ! そ、そいつは……ご領主様! 心を入れ替えますので、ご領主様の家臣にしてください!」
僕は涙目で訴えてきた男の頭に触れて、読心魔法を使った。
『俺たちを今すぐ殺さねぇところを見ると、コイツは甘ちゃんのガキだ! うまく取り入れば……』
「すみませんが、お断りします。僕を甘ちゃんのガキなどと侮る人を、家臣にすると思いますか?」
男の心の声を聞いた僕は、キッパリと断った。
「な、なぜ、それを!? まさか……心を読んで!? 【精神干渉プロテクト】は万全だったハズなのに……?」
「ヴァルム家お抱えのAランク魔導師のかけたプロテクトを突破したのか……!? こんな子供が?」
「じゃあ、嘘は無意味……!」
獣人ハンターたちは泡を食っていた。
精神干渉プロテクト? はて、特に抵抗を受けた感じはなかったけどな。
「うむ、見事な裁きじゃ! カルにはやはり名君の資質があるのじゃ!」
アルティナが喝采を叫び、僕に抱き着いてきた。
「はにゃーん! ミーナ、カル様がスゴすぎて、発情してしまいましたにゃ! こんなにすばらしい方に支配していただけるなんて、幸せにゃ!」
「いや、ちょっとキミたち……!」
さらにミーナも僕に抱擁してきたので、慌てて離れる。特にミーナは瞳を潤ませて、熱い吐息をついて、ヤバいことを口走っていた。
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