第141話 カーミラさん勘違いしていたのか......
修練場にカーミラさんを伴ってきた。
もう既にアークスもアリエスも居て待っていた。
ルル王女は……あれっ居ないな。
「遅いぞ、セレナ!」
「ごめん、ちょっと話していて遅れちゃった。 それでルル王女は居ないの?」
「ルル王女は、急な公務が入って、来れ無くなりました」
「それじゃ始めようか」
「はい! 所で、その方は誰ですか?」
「お初にお目にかかりますわ! カーミラと申しますわ……婚約者のセレナ様に頼まれて本日の稽古をつけさせて頂きますわ」
流石カーミラさん、挨拶がさまになっている。
「アリエスです……貴方が後から婚約者になった方ですか! フルールやロザリアなら兎も角、貴方が相手になると思うのですか? 私はこれでも、聖教国で最強と言われた騎士の……」
え~とカーミラさんの大まかな素性とかロマーニ教皇とかから聞いてないのかな。
「ねぇ……貴方……痛いのと恥ずかしいのと死んじゃうのどれがご希望かしら?」
カーミラさん怒っているな……青筋が立っているし……
「何を言っているんですかぁ? その人を倒したらセレナ様かアークス様が稽古をつけてくれますか?」
「まぁ……無理だよ......倒せたらね」
「どう見ても無理だな」
アリエスの顏が歪んだ……明らかに心外ですと不満な顔だ。
本当は強いのかな?……どう考えてもそんなに強いとは思えないんだけど。
「私が無理?……その女に負けると言うのですか?」
「無駄吠えはやめた方が良いですわ! 先手は譲ってあげますから掛かってくると良いですわ」
剣を抜いてアリエスが斬りかかる。
う~んカーミラさん、武器も持ってないのに…….
まぁ、この位で埋まる差じゃないんだけど……
「それじゃーーっ行きますわよ! ふっふっはははは残酷に殺して……えっ!」
カーミラさんはひらり、ひらりと簡単に避けている。
完全に遊んでいる。
そして......グチャ。
「殺すと言うのはこうするのですわ!」
なかなかエグイ。
一瞬にしてアリエスの頭がまるで握り潰したトマトの様にはじけた。
急がないと…….
「パーフェクトヒール」
弾けた肉片が集まり、元のアリエスの状態に戻った。
「うっ…….うわぁぁぁぁーーー」
頭を爆発させられたらそりゃこうなるよな。
「喚いていても意味はありませんわよ!」
にこりとカーミラさんが笑うと……
今度はアリエスは胸を貫かれ心臓を抉り出されて……目の間で握りつぶされた。
「うぐっ……うわぁぁぁぁぶはぁ」
アリエスは口から血を噴き出し苦痛の表情をし……そのまま…….
まずい、死んじゃうよ。
「パーフェクトヒール」
これで良しと......
「うわぁぁぁぁぁ-----助けて、ハァハァお願い」
アリエスは余裕なく顔を真っ青にしながら懇願した。
だが、まぁカーミラさんがこれで終わらせるわけないよね。
「だ~め……良いですか? 強いと言うのであれば、最低でも死を恐れずに戦う……それが出来ないなら語って良い言葉じゃありませんわね……それじゃ」
「嫌ぁぁぁぁーーいやぁぁぁぁ助けて、助けてぇぇぇぇーー」
鼻水を垂らしながら泣き叫んでいるけど……
これはそういう稽古だからやめる訳ないよね。
多分カーミラさんが教えたいのは……死を恐れない心なんだと思う。
そんな感じじゃないかな?
サクッズバッ
アリエスの首が一瞬で伸びたカーミラの爪で斬られ宙を舞った。
「パーフェクトヒール」
切断されて宙に舞っていた首がそのまま落ちてきて繋がった。
「セレナ、流石に可愛そうじゃないか?」
アークスはマモン時代にもっと凄い事をしていた筈なんだけどな。
まぁいいや……
「カーミラさん、もうその辺で止めてあげて」
「そうですか? セレナ様がそう言うなら仕方ありませんわね! それじゃ……あーむっ」
そう言うとカーミラさんはアリエスの首に噛みついた。
そのままゴクゴクと血を吸っている。
「ああっ……あああっあああーーーっ」
「ぷはぁっ……これでもうこの子は私の言いなりですわ! もし欲しいのでしたら……アークス様に差し上げますわ」
あっ……まさか恋愛相談の話かな。
「あの……カーミラさん」
「セレナ様は『甘酸っぱいというか、ときめきというか、そういうのを経験させてあげたい』そう言っていましたが大丈夫ですわ! 好きな異性をアークス様にするだけで他は全部そのままという事も可能でして……さぁ、今日からアークス様もめくるめく恋愛の世界でも、アダルトな官能の世界でも思う存分……」
「あの……カーミラさん盛り上がっている所申し訳ないんんだけど、アリエスはアークスの好みじゃんだって……なんだかゴメン」
「すまないな……」
「あら、そうですの? 血を吸って眷属化してしまいましたわ。 まぁ手駒として持って置いて使わないのならそのまま放置にしときますわ……と言う訳でアリエス、私が命令するまで自由にしていて良いですわ」
「ハイ! カーミラ様」
「カーミラさん、それ大丈夫なの?」
「私に逆らえないだけで、特に命令をしなければ今迄と変わりませんわ。 ただ、私が命令すればバンパイアは上位の存在には一切逆らえませんので、どんなに嫌いな相手でも結婚する位ですわね……まぁ、要らないなら命令をしませんからこのままで大丈夫ですわ」
「そう……それなら絶対に命令をしないでね」
「ええっ解りましたわ」
命令しなければ良いんだよね。
多分、大丈夫だよね……
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