第138話 セレナVSアークス模擬戦 前哨戦
「よくぞ、このエドガーに相談して下さいました! 思う存分に戦える場所をご用意しました!」
「あの……エドガー、これ本当に大丈夫なの? あとでメルに怒られない?」
「はい、メル様には十大大司教の一人リムチ様より急な相談があると言う事で、呼び出して貰っております! なにより、この場にもう少ししましたら、教皇のロマーニ様が到着しますので、何があっても大丈夫です。メル様がなにか言って来ても教皇様が対応して下さりますのでご安心ください」
只の模擬戦なのに……なんでこんな大事になっているのかな。
しかも、こんな大きな会場まで用意して……どう見てもコロシアムじゃん。
「大丈夫です! ルルからもお父様に話は通してあります。 ここで起きた事は全てこの場限りの事です! 思う存分、戦い下さい!」
「ルル王女……もしかして僕の事知っているのかな?」
「あっ……すいません」
いきなり目を逸らされた。
まぁいいや。
「少しアークと話してくるね」
そう、エドガーとルル王女に伝えアークスの方に歩いて行った。
◆◆◆
「随分と大事になったな」
「多分、教会関係者ばかりだから、僕たちの正体は知っているみたい……だから問題は無いけど……問題は此処だよね?」
「ああっ、自信満々に『この結界は16重に張った結界で竜でも壊せません』って言っているが……壊れるよな?」
「だから、少し自重しないとまずいよね? それに本気だすと多分、皆が死んじゃうよね?」
「そうだな、まず、セレナは『竜化』『精霊の力借りるのは無し』『力の上乗せしたゴッドドラゴンセレナ』は無しだな」
「確かにあれは人を巻き込んじゃうね……仕方ないね……それでアークスはどうするの?」
「軍神化して神剣は使うけど広域技は無し……こんな所だろう?」
「僕の方が不利じゃないかな?」
「馬鹿言うなよ! 俺はお前に2回も負けているんだ……虫の力や勇者の力ですら拮抗しているんだよ! この位でようやく互角だ……しかもこれは模擬戦……これで充分じゃないか?」
「えーーと、今迄のも模擬戦だったよね?」
「灰にしたり、心臓抉るのは決闘……模擬戦とは言わない……俺は良く脳筋と言われたが……お前はその常識もないのか……」
「えへへ、僕子供だからね……まぁ、アークスに言われたくないけどね」
「まぁ、これでやろうぜ」
「うん……解った」
まぁ、この位にしないと流石に不味いよね。
◆◆◆
暫くする教皇のロマーニのお爺ちゃんがきて、何やら挨拶していた。
この場に居る学生はルル王女とアリエスさんだけ……あとは、うん教会関係者以外は偉そうなおじさん、おばさんばかりだ。
もう始めて良いみたい……
「さぁ来い! セレナ! 軍神化」
アークスの体を輝く鎧が覆った。
自分は軍神化しているのに……竜化は無し……ズルいよね。
いいもん、それなら…….
「インせプトぉぉぉーー変態! とぉーーっ」
神×虫×人の複合。
『竜』は除いたからルール違反じゃないよね。
神虫様から貰った加護を極めようとして研究したんだよね。
この加護は、前に使わなかった複数の虫さんの力を取り入れたから案外強いんだよね。
見た目もカッコイイし……通信水晶で話した時、セレスお父さんが、何処かで見たヒーローみたいって言っていたんだよね。
「なんだ、それはーーーっ」
「行くよーーっ! セレナ―パンチ―ッ」
僕はアークスに近づき、思いっきり殴った。
グリーンアントという蟻の力は自分の35倍の物を持ち上げる。
その加護を通常の僕の力に上乗せして殴った。
「ぐふっ、やるじゃないか! セレナぁぁぁぁーー」
アークスは上空にすっ飛んでいき、ガラスが割れるように結界が壊れ落ちてきた。
だが、流石はアークス。
しっかりと両足で着地し、大したダメージじゃないみたいだ。
「相変わらず凄いね……うんうん、全然効いてないんだね?」
「軍神だからな! しかし、また変なの身につけたんだな?」
「まぁね……子供だからヒーロー好きだもん」
「あのなぁ……今度は俺から行くぞ……うぉぉぉぉぉーー」
アークスの剣が僕に迫ってくる。
さっきアークスが受けてくれたから、僕も避けない方が良いよね。
ドガァァァァーーン
今度は僕が飛ばされコロシアムの壁に突き刺さった。
だけど『アーマードシールドインセクト』は兎も角、固い虫なんだ。
虫なのに竜に踏まれても潰れない。
その能力を模した装甲だもん……うんうん全然大丈夫だね。
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