第137話 転入生 二人


「え~この度この学園に転入する事になりました、ミスターアークとミスアリエスです! 皆さん仲良くしてあげて下さいね! ミスターセレナと同じ教皇様の親類ですから、また無礼が無いように気を付けて下さい」


アークスは本当ならそのまま名乗っても知られていないからバレないけど、念の為、アークに名前を変えて入学する話だった。


それは解るんだけど……横のアリエスさんって誰だろう?


あとでエドガーかメルにでも聞いてみよう?


「それじゃ、2人とも簡単に自己紹介をお願い致します」


「うむ、俺の名前はアークだ! 魔法は苦手だが戦闘は得意だ! 仲良くしてくれ!」


「私の名前はアリエスです! アーク様ほどじゃありませんが、そこそこ強いですね! 並の騎士なら簡単に勝てますわ」


人の事言えないけどさぁ。


アリエスっておかしいな。


騎士より強いなら学園に通う必要が無い筈だもん。


なにか訳ありなのかな?


「という訳で皆さん仲良くしてあげて下さい」


そう先生が言うと、本日のホームルームは終わった。


◆◆◆


「セレナ様、あの二人はご存じですか?」


「うん、アークは知っているよ! 僕の友達だから」


「そうなのですか? それじゃセレナ様と同じで教皇様の遠縁なのですね?」


アークスもそう言っていたのになんで聞くんだろう?


「うん…そうだね」


ルル王女はかなり、気になるのか僕に聞いて来た。


「それで、もう一人のアリエスさんって方はどう言った方なのでしょうか?」


「う~んアリエスさんは僕も知らないかな? さっき、アークに聞いたけど知らないっていた」


「そうなのですか」


ルル王女と話しているとアークがこちらに近づいてきた。


その後ろにはアリエスさんも居る。


「よっ! セレナ」


「久しぶりだねアーク! え~とあとアリエスさん」


「貴方様がセレナ様ですのね! 教皇様からお話を聞いております! なにか困った事がありましたら、なんでも言って下さいね! このアリエスがなんでも相談に乗りますから」


このキラキラした目。


初めて会ったのに『セレナ様』


うん、間違いなく教会関係者だ。


まぁ、教皇の遠縁を名乗っているんだから、そうだよね。


「うん、そうだね、何かあったら相談に乗って貰おうかな?」


「はい、何時でも頼って下さいね」


まず、頼ることは無いと思うけど……


そうだ……


「僕よりも、アークが転校したてで友達が少ないから色々と相談にのってあげてくれないかな?」


「勿論、構いませんわ! アークス様、宜しくお願い致しますね」


今、アークじゃなくアークスって呼んだよね……


もしかして正体に気が付いているのかな…….


まぁいいや、後でエドガーにでも聞いてみよう。


「ああっ、宜しく頼む……アリエス」


「セレナ様、私にお二人を紹介してくれませんか?」


紹介?


同級生なんだから自由に話せば良いのに。


「え~と、こちらがザマール王国の王女でルル王女、こちらが僕の友達のアーク……アリエスさんは今日初めて会ったから、僕も知らない」


こんな感じで良いのかな……


「ほう、ザマール王国の王女か、アークだ宜しく頼む」


「私は、セレナ様もアーク様もルル王女様とも初めてお会いします! アリエスと申します! 宜しくお願いしますね」


「宜しく」


僕がそう言うとルル王女とアークスも頷いた。


うん、確実に教会関係者だ。


僕やアークを先にしているから……


「それで、私、戦闘が物凄く好きなんです! 武勇高きセレナ様の戦っている姿を見るのが夢なんです……いつか見せて頂けますか?」


「そんな物見たいんだ」


「はい」


メルに余り戦闘やら魔法を使っちゃいけないと言われるけど……


アークスとする分には怪我しないから大丈夫だよね。


「もしよかったらアークス久々に少し放課後模擬戦してみない? お互い地の力で? どうかな?」


「此処暫く暴れてないから、丁度良いかもな……やろうぜ」


「という訳で、今日の放課後で良かったら模擬戦みせてあげるよ! どう?」


「是非、見せて下さい!」


「私も見させて貰って構いませんか?」


「ルル王女も……うん、別に良いよ」


しかし女の子なのに戦闘が好きなんて随分変わった女の子だな。



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