第133話 外濠から埋める
「エドガー、お願いがあるんだけど?」
「セレナ様! 此処暫く見かけなかったから心配していたんですよ? お願いなんて水臭いですよっ! 私には『頼む』で充分ですから!」
今、僕は学園のエドガーの部屋に来ている。
メルに話しをするより、エドガーにあらかじめ話して外濠を埋めておいた方が良いよね。
まずはエドガーに相談っと。
「実は学園に1人生徒を受け入れて貰いたいんだけど? 駄目かな?」
「本来は駄目ですが……セレナ様が入れたいなら、有力者の推薦を貰えば良いんですよ! セレナ様の知り合いの方の推薦ならまず大丈夫です!」
誰に推薦を貰おうかな?
ルシファードおじちゃんやスカルおじちゃんの推薦で落ちたのは『間違い』だったんだよね。
それなら、また2人の推薦で良いのかな?
『魔王』と『不死王』だから、問題無いよね。
「それじゃ、推薦を貰ってきたら、エドガーからメルに話してくれるかな?」
「良いですとも、それで、相手の方はどなたで?」
「今、呼ぶね……アークス入って来て……」
僕が呼ぶとアークスが入ってきた。
「ああっ、すまないな」
「あっあっあっ……アークス様、軍神アークス様ですか、神である貴方が何故学園に……入る必要なんて……ハァハァ無いですよね」
アークスの威圧感でエドガーの顔色はかなり青いけど大丈夫かな。
「うわっははははっ、実は先日、セレナと戦って盛大に負けたのだっ! それで新しい趣味を探したり……そのなんだ、恋とかしたいと思ってな。それで学生という物をやってみようという事になったのだ。今の話では推薦があれば良いのだな? 魔王や四天王から推薦で良ければ貰ってくるが……」
「いや、アーク様は軍神です……手間を掛けさせないで大丈夫かも知れません」
そう言うとエドガーは
「少し失礼しますね」
そう言い部屋から出て行った。
◆◆◆
エドガーこと俺は部屋から出て裏庭に行くと通信水晶を手に取った。
『久しいですねエドガー殿、今日はどう言ったお話ですかな? あっまさか、セレナ様関係ですか?』
「はい」
今、話している相手はロマリス教皇様だ。
『どの様な話しですか? 私が許可します……セレナ様のお好きな様にして下さい』
「それが、ご友人を学園に入学させたいそうなんですが……」
『確か、推薦が必要ですね。セレナ様の友達なら、私が推薦しましょうか? それで相手はどんな方なのですか?』
「それが軍神アークス様です……それでどうして良いか判断を仰ぎたいのです」
軍神アークス様は元は魔族四天王のマモンです。
私や教会の立場としてどう扱って良いか迷う存在です。
軍神は神ですから崇める存在です。
その反面、マモンは魔族の四天王で過去に沢山の勇者を含む人間を殺してきました。
これをどう判断するか……
『それなら問題はありませんね! 過去は兎も角、今は我々が信仰する神ではなくとも神。 そしてセレナ様が一緒に学園に通いたいと言う事は高貴な者どうし、なにかあるのでしょう。神とは孤独な存在です。同じ神の友人がいる事でそれが癒されるなら良い事です。 そうですね、教皇の私が推薦を出しましょう』
「それでは宜しいのですね」
『軍神様ですから、推薦さえあれば、まず落ちる事は無いでしょう。 メル様には教皇の推薦とお伝え下さい……良いですか? どういう学園生活を送りたいか聞き、その願いを叶えるのですよ』
「解りました」
これならセレナ様に良い知らせが伝えられる。
◆◆◆
「教皇様に聞いたところ、教皇様が推薦して下さるそうですからご安心下さい……それじゃメル様の所に行きましょう」
「ありがとうエドガー」
「すまぬな」
「このエドガーの忠誠はセレナ様にあります! 大船に乗った気でいて下さい」
多分、メル様に怒られそうですが……そんな事はこのエドガーは気にしません。
ええっ。
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