第123話 メルSIDE 押し付けちゃおう

「セレナくん……ハァ~」


「メルぅ~」


「ハァ~」


もう何を注意して良いのか解らない。


そもそもセレナくん、人間じゃないし……


大体ドラゴンをトカゲの中で生活させている様なものなのよね。


「セレナ様、そう言えばジャンプした後消えていたと聞きましたが何処に行かれていたのですか?」


「エドガー……思いっきりジャンプしたら月まで行っちゃったんだ。 凄いよね」



「月……あの月ですか!? 流石セレナ様凄いですね~」


「エドガー、いい加減甘やかすのをやめようか?」


「メル様、セレナ様は神の息子なのです……」


今迄なら此処で引き下がっていたのよね……でもエドガーそれも此処で終わり。


私には切り札があるわ。


「あのね……その神であるイシュタス様から、色々頼まれている訳! 女神の意思をエドガー貴方は無視するのかしら?」


「いっ……イシュタス様ですか?」


「そう、イシュタス様……」


「エドガー……」


「すみませんセレナ様、幾らセレナ様の為でも……スイマセン」


これでエドガーは間に入って来ないわね。


「あのね、セレナくん、君は何をしたいの?」


「僕はもう二度と負けたくないんだ」


相手はあのアークスよね。


「相手はあのアークスよね……」


「うん……」


大体、神相手に戦う技術なんてそうそうないわ。


さてどうしようか?


良いわ……この際押し付けちゃえ。


「あのね、セレナくん、強くなりたいならもっと強い存在と戦わなくちゃ」


「メル、だけど……ゼクトお兄ちゃんとかにも修行をつけて貰ったけど……駄目だったんだよ」


「そうね……沢山の数を相手に戦いたいならスカルキングなんか良いんじゃない? 魔王ルシファードだってなかなかの強者……」


「メル……多分だけど、僕の方が強い気がする……」


そうよね……多分セレナくんならあの二人よりも強いわよね。


だったら……


「なら、竜公と戦わなくちゃね」


「竜公?」


「ほら、バウワー様の下、セレスと同等の戦闘力を持つ人達がいるじゃない?」


「うん、そうだね」


「強くなりたいなら竜公と戦うのが良いわ」


「だけど、竜公の多くは気ままに旅しているから、なかなか会えないよ」


「そうね……だけど、セレナくんなら1人簡単に会える竜公が居るじゃない?」


そう……責任はとらせなくちゃね。


「誰!?」


「貴方のお父さん、セレスよ!」


「セレスお父さん……」


「そうよ! アークスがマモンの時に戦い勝利して、アークスとも戦った貴方のお父さん『英雄セレス』セレスと戦えば確実に強くなれるわ」


「メル……」


駄目か……


「うん、そうだね、お父さんの事すっかり忘れていたよ」


「そうよ! それにセレスに勝ったら、次はバウワー様がいるわ……道は遠いわよ」


「うんうん、そうだよね……僕頑張ってみるよ!」


「頑張ってね」


「うん!」


セレスは父親なんだから、そろそろ責任を取らなきゃね。


確かに昔は色々と押し付けていたけど……今は逆じゃない。


うん! セレスならセレナにきっと教育してくれるよね。


◆◆◆


セレナは笑顔で去っていった。


「メル様……良かったのですか?」


「普通の人にセレナくんの相手が務まるわけないじゃない。 だったら出来る人にして貰えば良いのよ」


「だからって神竜セレス様に……」


「セレスはセレナくんのお父さん……それに私はこれでも幼馴染この位は問題ないわ」


「知りませんよ」


セレスならきっと大丈夫だよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る